妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
スポンサーリンク

赤ちゃんの効果的な吸綴

赤ちゃんが母乳を確実に飲むためには、乳房を深く含み、舌を蠕動運動様に動かして効果的に吸綴することが大切となります。

吸綴のメカニズム

赤ちゃんがおっぱいを吸うメカニズムは、ストローで飲み物を飲む、すなわち”吸う”とは異なることは以前からわかってはいたのですが、口の中のことではっきりしたことはわかっていませんでした。
それが超音波画像の発達により赤ちゃんがおっぱいを吸うときには、主に舌を使って飲んでいることがわかりました。
具体的に吸綴のメカニズムは、

  1. 舌の先を歯ぐきの前にのばして舌側縁で乳首を包むようにして上口蓋に押し上げ密着します。
  2. 舌が蠕動運動をおこします。舌の前部が盛り上がって乳首を圧迫し、この盛り上がった山が順次波のように後方に移動して乳頭を圧迫していきます。
  3. これに連動して舌の盛り上がった山の後方は下降し、これと上顎の軟口蓋間に閉ざされた密閉空間で陰圧がつくられ吸引されます。
  4. この舌の蠕動運動、吸引、圧出が別々におこなわれるのではなく、一連の動作として繰り返されています。
  5. 1回の哺乳運動では、吸綴が数秒続いたあと小休止し、その後、再び吸綴を再開して、これが交互に繰り返されます。

この吸綴のメカニズムは母乳を飲むときでも哺乳びんで飲むときでも基本的には差がないことがわかって来ました。

効果的な吸綴のポイント

【乳頭乳輪が口腔内に引き込まれている】
乳頭・乳輪が深く口の中にあり、舌は通常の位置にあり乳頭を丸く包んでいます。鼻呼吸ができる。
【吸綴サイクルは舌の先端が挙上することから始まる】
吸綴は、まず舌の先端が上がり、同時に下顎が下がった後、乳頭の基部を圧迫するために挙上することで乳汁が乳頭・乳輪部の乳管に圧出されます。
【舌による圧迫の波は口蓋を押し上げながら前から後ろに波状に動きます】
舌のロールを転がすような蠕動様運動で乳頭から乳汁を圧搾し、舌の後方が下がり、乳汁が口腔にたまります。このとき乳頭・乳輪は舌と下顎の圧迫により2~3倍に引き伸ばされています。
【圧迫の波が後方に移動し軟口蓋を圧迫します】
舌の盛り上がりが軟口蓋に達すると口蓋の筋肉が収縮し、軟口蓋が挙上して鼻腔を閉鎖します。乳汁は口腔咽頭に押し出され、嚥下されます。
【一連の圧迫は舌の後方の付着部まで続きます】
下顎が下がると同時に舌の後方が下がってできた陰圧によって乳頭・乳輪が引き込まれ、乳汁が再び口腔内に流れ込みます。

吸綴の種類

吸綴には、栄養的吸綴と非栄養的吸綴(呼び出し吸綴)があります。赤ちゃんは、乳房に吸着すると最初に非栄養的吸綴もしくは呼び出し吸綴と呼ばれる素早い吸い方で射乳反射を起こさせます。(クチュクチュと1秒間に約2回程度の速さで乳頭を吸います。)
射乳反射が起こって母乳が出始めると1秒間に約1回の顎を大きく動かすゆっくりした吸い方で射乳してきた乳汁を吸綴します。
栄養的吸綴が乳汁移行を伴う栄養を得るプロセスであるのに対して、非栄養的吸綴とは乳汁移行を伴わない吸綴を指します。
非栄養的吸綴は、赤ちゃんの基本的な吸綴欲求を満たし、赤ちゃんが泣き止むため、また、赤ちゃんの消化管の蠕動運動や消化液分泌の促進効果などがあります。

スポンサーリンク