妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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酸素投与の影響はありますか?

心臓や呼吸器に問題がある新生児では十分に酸素を得ることができないため低酸素状態に陥ります。
酸素療法は低酸素状態にあるある新生児に医療用ガスとして濃度を増した酸素を加温・加湿して投与する治療法です。

赤ちゃんの肺機能の発達

胎児の肺は妊娠6週ころから発生し、さらにそれぞれ2つ、3つに分葉し左右の肺葉、気管支が形成され、妊娠28週を過ぎるころには肺胞はほぼ完成し構造的にはガス交換が可能となります。
妊娠30週以前では肺胞を膨らませる肺サーファクタントの産生が不十分であり、肺胞壁も厚いためガス交換が困難でこの時期に出生した新生児は人工呼吸器が必要性が高いのですが妊娠34週ごろには肺の成熟、肺サーファクタント産生が十分となり胎外生活が可能となります。
このことにより妊娠34週で胎児の肺が成熟するのを待って分娩することが望ましいのですが、胎内にとどまるリスクが高く胎児の状態が悪い場合は肺の成熟を待つことなく出産となります。

早産児の呼吸の機能

在胎週数にもよりますが早産児の場合、肺の構造上肺胞の表面積が少ないく機能が未熟、肺サーファクタントが欠乏ししているため肺胞が虚脱状態となる、呼吸中枢が反応が未熟、気道が細く無呼吸を起こしやすい、呼吸筋として働く横隔膜が疲労しやすいことなどから呼吸不全を起こしやすい特徴があります。
また、早産児の肺は抗酸化物質も少なく損傷に弱いため慢性肺疾患が重症化しやすく、呼吸不全の遅延や肺高血圧を合併しやすいことがわかっています。

早産児に酸素を投与する必要性

酸素は生命を維持するためには不可欠です。
酸素は呼吸によって肺に取り込まれ、肺の毛細血管を経由し全身の細胞に運ばれエネルギー代謝に活用されます。
早産児は肺が未熟なために生後に呼吸障害を起こすことが多く、さらに抵抗力が弱いために一般的に肺炎などの感染症のリスクが高いことが知られています。 出生時の酸素不足は新生児の脳にダメージを与える可能性があります。
呼吸筋の障害によって呼吸運動が制限され、体に必要な酸素が取り込めず、呼吸困難を起こした場合には酸素投与が必要です。

早産児の酸素療法

早産児に対して酸素療法を行う場合、必要な酸素量が決定されその値を保つために血液ガス分析、経皮酸素飽和度モニター、経皮酸素分圧モニターなどにより血液中の酸素量を計測され維持されています。
酸素の投与方法には保育器内投与、ヘッドボックス、経鼻カニューラ、持続陽圧呼吸療法(CPAP)、非侵襲的陽圧換気(NIPPV)、気管内チューブを挿入する機械的人工換気などがあります。それぞれの赤ちゃんの状態により使用されます。

早産児の酸素療法の影響

低酸素状態を改善するために行われる酸素投与ですが、酸素には毒性があるため慎重に投与されます。
低酸素状態に対して高濃度の酸素が投与されると活性酸素が増えて様々な臓器や器官に影響を与えてしまいます。
とくに早産児は活性酸素を消去する能力が低いため影響を受けやすく未熟児網膜症、慢性肺疾患、壊死性腸炎、低酸素性虚血性脳症などの障害が起こる可能性があります。
早産児でけでなく新生児に対する酸素療法に関してはガイドラインがあり、それに基づいて治療が行われています。また、酸素を投与する場合は必ず医師の指示を守り、時間ごとに酸素濃度を計測し、赤ちゃんの状態をしっかりと観察されています。

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