妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
スポンサーリンク

未熟児無呼吸発作

出生後、ほとんどの正常新生児では規則的な呼吸の間に3~15秒の呼吸停止が混在する周期性呼吸を認めますが、これは無呼吸ではありません。無呼吸とは、20秒以上の呼吸停止または、徐脈やチアノーゼを伴う呼吸停止と定義されます。
早産児においても周期性呼吸はよくみられるのですが、問題となる無呼吸とは20秒以上の呼吸停止またはそれ以内であっても徐脈や血中酸素濃度(Sp02)の低下を伴うもので、その1つが未熟児無呼吸発作です。

未熟児無呼吸発作とは

未熟児無呼吸とは、無呼吸の原因となる基礎疾患をもたない在胎期間37週未満で出生した早産児で20秒を超える呼吸停止あるいは呼吸停止が20秒未満であっても徐脈や明らかなチアノーゼを伴うものと定義されています。
未熟性に基づく無呼吸発作は在胎28週未満の児では90%以上に認められ、在胎32週未満の児の約半数認められ、通常在胎34~36週頃には消失されるとされています。しかし、慢性肺疾患を合併する早産児の場合は、出生予定日を過ぎても遷延して無呼吸発作がみられることがあります。

未熟児無呼吸発作の原因

未熟性無呼吸発作の原因には、呼吸中枢の未熟性や呼吸機能調節の未熟性による低酸素血症が呼吸中枢を抑制することなどが考えられ、その他に胃からのミルクの逆流、新生児仮死、感染症、頭蓋内出血、低血糖、先天性の疾患などが原因となることもあります。

未熟児無呼吸発作の症状

未熟性無呼吸発作の症状は、呼吸が20秒以上停止するか、20秒以下でも脈拍が100以下に落ちたりチアノーゼを伴うことがあります。

未熟児無呼吸発作の診断

無呼吸自体は観察にて確認でき、呼吸モニタリングによって診断が行われます。
無呼吸発作の原因を調べるために血液検査で血糖・カルシウム(Ca)・ナトリウム(Na)・アンモニアなどの代謝性因子、感染関連項目(白血球数、好中球核左方移動の有無、CRP値)の検査をおこない異常がないかどうか確認されます。
さらに、必要に応じて頭部超音波検査、頭部CT、脳波検査がおこなわれ、水頭症、脳室内出血、くも膜下出血、硬膜下出血などの有無、また、胃食道逆流を疑う場合は、上部消化管造影が行われます。

未熟児無呼吸発作の治療

未熟児無呼吸発作は、繰り返す無呼吸発作は神経学的予後に影響するため低酸素状態を改善、予防するような治療が行われます。
無呼吸発作時、足底および体幹を刺激することにより呼吸の再開を試みる、刺激で無呼吸が回復しない場合は低濃度酸素投与、無呼吸の開腹が遅い場合にはマスクアンドバック蘇生、無呼吸発作を繰り返す場合は経鼻的持続的陽圧換気(nasal CPAP)、さらに回復の悪いものには器官挿管による人工呼吸器という治療の順番でおこなわれます。
十分にコントロールできない場合は、注射薬アミノフィリン、経口薬テオフィリンが用いられています。
欧米ではカフェインを無呼吸発作の治療として用いられており、2014年3月24日、未熟児無呼吸発作治療薬無水カフェインの製造販売が承認されました。適応は早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)です。

未熟児無呼吸発作の予後

ほとんどの早期産児は、在胎37週に達する頃までには無呼吸発作を起こさなくなりますが極端に短い在胎期間で生まれた乳児では無呼吸が数週間続く場合があります。
死亡率は、治療の有無にかかわらず問題にならない程度です。

スポンサーリンク