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早産児と無呼吸発作

正常な新生児でも呼吸中枢が未熟なため出生後しばらくは呼吸リズムは不規則で5~10秒の無呼吸はみられることがあります。

無呼吸発作とは

無呼吸発作とは、20秒以上の呼吸停止あるいは20秒以下でも徐脈またはチアノーゼを伴うものと定義されます。
正常な新生児においても無呼吸はよくみられる症状ではありますが、低酸素の状態が繰り返されたり、長引いたりすると脳への血流や酸素供給に影響を与えるため適切な処置が必要です。
無呼吸発作は、中枢性、閉塞性、中枢性と閉塞性による混合性の3種類に分類されます。
中枢性の無呼吸とは呼吸中枢からの神経刺激が途絶えることによる呼吸停止のことをいいます。
閉塞性無呼吸とは吸気時の気道閉塞による呼停止で胸の動きを伴うため無呼吸としてとらえることが難しいといえます。
混合性無呼吸とは中枢性と閉塞性の両方の因子が重なって生じる無呼吸で最も多くみられるタイプの無呼吸です。

早産児と無呼吸

早産児は、肺胞面積が少ないため呼吸機能は低く呼吸不全を起こしやすく、気道閉鎖による無気肺を起こしやすいという特徴があります。

早産児が無呼吸となる理由

早産児は呼吸中枢自体が未熟であるうえ、大脳皮質からの入力に対する呼吸中枢の反応にも未熟性がみられるため中枢性無呼吸を起こしやいといえます。
さらに早産児は鼻腔から細気管枝まで気道が細く、上気道の緊張や全身の筋緊張も低いため、閉鎖性無呼吸も起こしやすい。
また、低酸素血症に陥ると早産児では逆に呼吸抑制を来してしまいます。
早産児では無呼吸に伴いしばしば徐脈を来します。

早産児の無呼吸の発症頻度

早産児の無呼吸の発症頻度は、在胎29週未満の児のほとんど、30~31週の54%、32~33週の15%、34~35週の7%に起こるとされます。無呼吸は呼吸中枢の成熟に伴い、35~40週にはほぼ消失します。

早産児の原発性無呼吸

早産児において問題のない無呼吸を原発性無呼吸といい、原発性無呼吸とは20秒以上の呼吸停止または20秒未満でも徐脈やチアノーゼを伴うものと定義されます。
通常、頻度は8時間当たり3~4回程度のものです。在胎週数と新生児の状態にもよりますが、無呼吸の頻度は極端には増加することはありません。また、全身状態が良好でとくに無呼吸以外の症状がないのが特徴です。

未熟性無呼吸

未熟に基づく無呼吸発作は在胎期間28週未満の児にほとんどにみられ、在胎32週未満の児に過半数にみられ、在胎34~36週頃には消失するとされています。
しかし、慢性肺疾患を合併する早産児の場合においては出生予定日を過ぎても無呼吸発作がみられることがあります。
未熟性無呼吸発作の病因には、脳幹機能の未熟性、低酸素血症による呼吸抑制、高二酸化炭素血症に対する応答の未熟性、上気道の閉塞、胃食道逆流現象などの因子が複雑に関わりあっていると考えられています。

無呼吸をきたす主な疾患

無呼吸は未熟性に基づく要因だけでなく、重篤な疾患の兆候として現れることがあります。
症候性無呼吸を引き起こす要因としては、

  • 低酸素。
  • 中枢神経系:脳室内出血、脳梗塞、けいれんなど。
  • 感染症:敗血症、髄膜炎、壊死性腸炎、細気管支炎など。
  • 代謝異常:低血糖、低カルシウム血症、電解質異常、先天性代謝異常など。
  • 上気道閉鎖:後鼻孔閉鎖、少顎、巨舌、21トリソミーの低緊張など。
  • 循環器疾患:動脈管開存症、心不全、貧血など。
  • 体温異常。
  • 血管迷走神経反射:経鼻胃管の存在、上気道の吸引など。
  • 薬剤:鎮静剤、麻薬、プロスタグランディンE3など。
  • 胃食道逆流症など。

無呼吸に対する処置・治療法

中枢性無呼吸の場合は、まず刺激を行い呼吸の回復を試み、数回で回復しない場合や徐脈を伴う場合はマウスバックなどにより処置が必要な場合もあります。
閉塞性無呼吸の場合は努力呼吸は行っているので、まずは閉塞を取り除き気道を確保する必要があります。
治療法としては、nasal CAPA(経鼻的持続陽圧呼吸)、キサンチン製剤やドキサプラムなどの投与がおこなわれます。
これらの治療で改善しない場合や症候性無呼吸の場合は挿管した上での人工呼吸管理や原因となる疾患の治療がおこなわれます。

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