妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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早産児と低体温

新生児は体温調節機能が未熟であるため体温がまわりの環境温度の影響を受けやすく低体温になりやすいという特徴があります。
特に低出生体重児や早産児はほど低体温を起こしやすいといえます。

早産児の体温の特徴

新生児は体温調節可能域が狭いため、環境温度の影響を受けやすく、低体温や発熱をきたしやすいという特徴があります。
とくに低出生体重児や早産児は、グリコーゲンの貯蔵量は皮下脂肪、褐色細胞が少なく熱産生に乏しく、さらに体表面積が大きく早期に熱を喪失する傾向にあり、環境の温度の影響を受けやすいといえます。

早産児の熱の産生

ヒトの熱産生には体を震わせて熱を産生する物理的熱産生と体内で脂肪を燃やして産生する化学的熱産生とありますが、新生児は体を震わせて熱を産生することができないため、脂肪を燃やして熱を産生する必要があります。
呼吸機能や循環器機能が未熟な低出生体重児や早産児は、脂肪を燃焼させるために必要な酸素を十分に供給することができないため、熱を産生しにくいといえます。
褐色脂肪細胞は肩甲骨周囲と腎周囲に集中しており、成熟児の体重あたり2~6%、早期産児では約1%とわずかです。
新生児は体重あたりの体表面積の比率も高く、体温調節には不利といえます。

早産児の熱の喪失

新生児の熱の喪失は、体の深部から体表への移動と体表から外への熱の喪失という2段階からなっており、体表から外への熱の喪失には、輻射、対流、伝導、蒸散の4つの経路によります。

  1. 輻射による熱の喪失:新生児の体表かと保育器の壁などに奪われる熱の喪失。
  2. 対流による熱の喪失:外気温と新生児の周りの空気の流れに奪われる熱の喪失。
  3. 伝導による熱の喪失:新生児が直接接触している衣類などに直接奪われる熱の喪失。
  4. 蒸散による熱の喪失:新生児が羊水などで濡れていることによるなどに奪われる熱の喪失。

早産児が低体温を起こしやすい理由

新生児の熱産生の特徴の震えによらない熱産生が行われる褐色脂肪細胞は、寒冷ストレスが加わるとノルアドレナリンが分泌され、褐色脂肪細胞の血流が増え、熱産生が行われます。しかし、低出生体重児や早産児は褐色脂肪細胞が少ないため低体温に陥りやすいといえます。
また、体重に比べて体表面積が大きいこと、皮下脂肪が薄いこと、血管運動調節機能が未熟なことなどから体温を一定に保つことがむずかしいといえます。
この震えによらない熱産生は生後12時間では弱く、さらに低出生体重児や早産児は、寒冷ストレスに対する反応などが弱く、在胎期間が短いほど低体温のリスクは大きいといえます。
呼吸窮迫症候群の早期産児などで呼吸不全のある新生児では、寒冷ストレスの結果、組織低酸素症および神経障害が起こることも考えられています。

緊急を要する低体温の判断ポイント

体温が35℃以下となった場合は要注意で、環境温度を調整しても体温の上昇がみられない、体温の上昇とともに問題となる症状の改善がみられるかどうか判断のポイントとなります。
低体温の悪化のサインとしては、哺乳不良、活気不良、徐脈の持続、無呼吸発作の頻発、低血圧、尿量減少などがあげられます。

低体温で想定される疾患

新生児の低体温のリスク因子は、深睡眠、仮死、出血などの中枢神経系異常、低栄養、甲状腺機能低下症、感染症、チアノーゼ性先天性心疾患など多岐にわたります。
また、36℃以下の低体温が、感染症、低血糖、代謝性アシドーシス、DICなどの重症疾患の症状である場合もあります。

低体温の予防

熱の喪失のルートとしては対流、輻射、伝道、蒸散の4つがあり、それらを最小限にすることで低体温に陥ることを防ぐことができます。

  1. 対流を防ぐ:エアコンの真下や扇風機など風の当たる場所に赤かちゃんを寝かせないようにしましょう。
  2. 輻射を防ぐ:ベビーベッドや布団などは窓際や壁際から離し、赤ちゃんを窓際などから放しましょう。
  3. 伝導を防ぐ:肌着やオムツ、タオル、寝具など赤ちゃんの肌に触れるものを温めておきましょう。
  4. 蒸散を防ぐ:沐浴や清拭の後はすばやく体の水分を拭きとり、汗をこまめにふき取りましょう。
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