妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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早産児の循環の未熟性

新生児は出生直後に胎盤を介する胎児循環から新生児自身の肺による新生児循環に切り替わります。

胎児循環から新生児循環へ

胎児循環は、全身の心拍出量は右心室と左心室が同じ量を拍出し、総心拍出量の約83%が全身に流れて体循環となります。
胎児期には肺血管が収縮し、生理的にい肺高血圧状態となっているため肺動脈の血流の多くは動脈管を介して大動脈へと流れ込み、その結果として肺には総心拍出量の17%しか流れ、総心拍出量の39%が胎盤に流れ胎盤循環を形成しています。
出生後により、新生児循環に切り替わります。
出生直後の第一呼吸により肺が拡張し、肺血管抵抗が低下した結果、右室からの心拍出量は肺へ流れ、これに伴い肺静脈還流が増加し、左房、左室は急激な容量負荷にさらされることになり左室からの心拍出量のみで体循環が維持されるようになります。
また、肺呼吸の開始により肺静脈還流の増加により、左房圧が上昇し、左室へ容量負荷がかかるようになります。左室心拍出量は出生前に総心拍出量が34%であったものが、肺循環の確立に伴い59%に増加し、その後静脈管が出生後数時間以内に閉鎖し、動脈管は生後数日で閉鎖します。

早産児の循環の影響

胎児循環では比較的低圧で維持されているのですが、胎盤が娩出され新生児循環に切り替えると左室には負荷がかかることになります。
このような変化に対して正期産児では左心室心筋が成熟していることにより負荷を左室の拡大や収縮の増大として受け止めることができます。しかし、早産児の未熟な心筋では心室は容量負荷に対して成熟児ほど拡大することができず圧負荷に対応することができず、心房に負荷がかかり、心房圧の上昇をきたすと感がられています。
成熟児に比べて早産児では動脈管組織が未熟であるため、出生後に完全に閉鎖することができず動脈管開存症として残ることがあります。
早産児における動脈管開存は心不全の原因となったり、肺出血や脳室内出血の原因になったりします。
胎内における動脈管の開存を維持していると考えれているものが、プロスタグランディン、一酸化窒素、低酸素血症などで、動脈管開存症の治療にはこれらの因子のうちのプロスタグランディンを減らす効果がある治療薬が用いられます。

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