妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
スポンサーリンク

母児間輸血症候群(FMT)

母児間輸血症候群(fetomaternal transfusion syndrome:FMT)とは、なんらかの原因で胎盤絨毛構造が破綻し、胎児血が絨毛間腔を経て母体血管内に流入する疾患をいいます。

母児間輸血症候群(FMT)の機序

通常は母親と胎児の間の血液は胎盤のバリアによって隔てられており交通はないのが一般的といわれています。
このバリアが何らかの原因で破綻し、胎児の 血液が母体絨毛間腔に流入するために胎児に生じるさまざまな病態の総称が母児間輸血症候群といいます。
胎盤における絨毛間腔の母体血と絨毛内毛細血管の胎児血は血管内皮を介して接しています。
縦毛構造が何らかの原因で破綻を生じると、その破綻した部位から子宮胎盤動脈の影響により、母体血中に胎児由来の赤血球が流入してしまいます。
胎児の母体血流内への移行は通常は少量で、その流入量は0.5ml以下が95%、15ml以下でも99%を占めるとされています。
150ml以上の多量の母児輸血では、その発生頻度は0.02%とまれな疾患といえます。
胎児循環血液量が約85ml/㎏であることから、大量出血は胎児にとって致命的といえます。

母児間輸血症候群(FMT)の原因

母児間輸血症候群(FMT)との原因の多くは原因不明(約80%)で、そのほかに、羊水穿刺、外回転術、用手的胎盤剥離、母体腹部損傷、胎盤腫瘍、その他などがあります。

母児間輸血症候群(FMT)の症状

母児間輸血症候群(FMT)の症状としては、

  • 胎児貧血・新生児貧血
  • 胎動減少
  • 子宮内胎児死亡
  • 胎児水腫
  • 胎児心拍の異常
  • 胎児発育不全
  • その他

母児間輸血症候群(FMT)の診断

母児間輸血症候群(FMT)を診断するには、母体血に胎児由来の赤血球の存在を証明する必要があります。
その検査には、KBテスト、αーフェトプロテイン定量、胎児DNAの確認などがあります。
その他に、胎動の減少、胎児心拍の異常パターン、胎児中大脳脈高血流速度の測定、胎児貧血などの可能性がある場合などには母児間輸血症候群(FMT)の可能性があります。

スポンサーリンク