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前期破水(PROM)

陣痛発来(分娩開始)以前に卵膜の破綻をきたし、羊水が子宮外に流出したものを前期破水(PROM)といい、全妊娠の約5~10%にみられ、全分娩の約10~20%に起こります。

前期破水(PROM)の分類

前期破水(PROM)は管理上の問題から妊娠37週未満のpreterm PROMと37週以降のterm PROMに分類されます。
早産の約30%はpreterm PROMによるもので、早産児として出産した際、呼吸窮迫症候群(RDS)、脳室内出血などを合併するリスクが高いため、preterm ROMがとくに問題となります。

前期破水(PROM)の原因

前期破水(PROM)の原因には、卵膜の異常と急激な子宮内圧の上昇があります。

卵膜の異常による前期破水(PROM)

絨毛膜羊膜炎:膣中の病原性細菌が子宮口より卵膜に上行性感染することでおこる炎症性疾患です。病原性細菌により一部が膣炎を起こし、その一部が子宮頚管炎へ、さらにその一部が縦毛膜羊膜炎へと上行性に感染と炎症が波及していきます。この炎症が進行すると、頚管熟化、前期破水、早発陣痛などが引き起こされ、急速に早産にいたります。
絨毛膜羊膜炎の原因菌は大腸菌、B群溶連菌、クラミジアなど様々です。

急激な子宮内圧の上昇による前期破水(PROM)

羊水過多・多胎妊娠:子宮内圧の慢性的な上昇に加えて、咳などに伴う腹圧の亢進、夫婦生活など外力によって前期破水することがあります。
子宮奇形:子宮奇形は子宮の増大を阻害することにより子宮内圧の上昇をきたし前期破水に至ることがあります。

その他の原因による前期破水(PROM)

羊水穿刺:羊水穿刺により卵膜の損傷をきたすと前期破水を起こすことがあります。
その他の原因としては、前回妊娠時の前期破水の既往、頚管無力症、頚管円錐切除術の既往、喫煙などがあります。

前期破水(PROM)の診断

  1. 妊婦自身の自覚症状として羊水の流出感やさらさらした水のような帯下(水様帯下)の自覚があった場合は破水が疑われますのですぐに病院へ連絡し受診します。
  2. 問診により前期破水が疑われた場合には、医師や助産師により膣鏡により視診が行われます。内診は上行感染の防止のために最小限行われます。
  3. 膣鏡により視診で破水の診断が難しい場合は、膣内環境においてBTB試験紙法によってpHの測定、羊水の成分による検査が行われます。
  4. 今後の治療や管理の方針決定のために、破水の診断とあわせて、感染の有無の検査、残存羊水量の評価、胎児の状態の評価などがおこなわれます。

前期破水(PROM)の管理

前期破水(PROM)は、妊娠週数と感染の有無で管理の方法が異なります。
前期破水では、妊娠を継続すると感染の進行による影響が起こることがあり、また、妊娠週数の早い時期に児の娩出を行うと児の未熟性による合併症が多くなります。
前期破水は、この2つの影響を考慮して今後の管理の方針が決定されます。

前期破水(PROM)の問題点

妊娠37週未満のpreterm PROMでは、羊水の流出による羊水過少が原因となって以下のような様々な合併症を引き起こします。

  • 卵膜の破綻:子宮内感染、臍帯脱出
  • 臍帯の圧迫:胎児機能不全
  • 子宮壁による圧迫:肺低形成、四肢の変形、関節拘縮
  • 子宮内圧の低下:常位胎盤剥離
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