HELLP症候群
HELLP症候群とは、妊娠高血圧症候群のなかにHemolysis(溶血)、Elevated Liver enzyme(肝酵素上昇)、Low Platelet(血小板減少)という3徴がみられ、これらの頭文字をとって命名されたものです。
高血圧を伴わない場合も認められたため妊娠高血圧症候群から除外されました。
HELLP症候群発症の時期
妊娠後期から産褥3日、多くは妊娠中期以降に発症し、約90%に妊娠高血圧症候群の合併を認めます。
HELLP症候群発症の頻度
全分娩の約0.5%に発症し、経産婦、双胎妊娠に多いとされています。
HELLP症候群の症状
突然の上腹部から季肋部痛、悪心、嘔吐、胃部不快感、全身倦怠感などを主症状とします。
HELLP症候群の血液検査所見
- Bil、LDH、AST、ALTの上昇。
- 血小板の減
- 末梢赤血球で有棘赤血球や分裂赤血球などの溶血所見を認めたときにHELLP症候群と診断されます。
HELLP症候群の診断
統一された診断基準はありませんが次のような所見がみられます。
- 溶血:末梢赤血球形態の異常、ビリルビン≧1.2㎎/dl、LDH≧600u/L
- 肝酵素上昇:AST≧70u/L、LDHの上昇
- 血小板減少:血小板数<10万/μ
HELLP症候群の合併症
HELLP症候群の合併症には、子癇、DIC、常位胎盤早期剥離、腎不全、肺水腫などがあります。
HELLP症候群の予後
妊産婦死亡率は、0~24.2%、周産期死亡率は5~37%と高く、適切な管理がなされなければ予後が不良となります。
胎児機能不全(胎児ジストレス)の頻度も高いため、急速遂娩(帝王切開が多い)を要するケースが多い。
HELLP症候群の類似疾患
HELLP症候群の類似疾患には急性妊娠性脂肪肝(AFLP)があります。
HELLP症候群との鑑別は容易でないとされていますが、通常は母体の肝不全徴候はAFLPの方が強いとされています。
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