子宮外妊娠(異所性妊娠)
受精卵が子宮腔以外の部位に着床するものを子宮外妊娠(異所性妊娠)といいます。
主に卵管、卵巣、腹膜、子宮頸管に着床します。
子宮外妊娠は自然妊娠の1~2%に発症しますが、クラミジアやトリコモナスなどを病原体とする性感染症(STD)の増加や不妊治療における生殖補助医療技術の普及にともない、その発生頻度は増加しています。
子宮外妊娠(異所性妊娠)の分類と頻度
- 卵管妊娠…98.3%
- 腹膜妊娠…1.40%
- 卵巣妊娠…0.15%
- 頚管妊娠…0.15%
子宮外妊娠(異所性妊娠)の原因
子宮外妊娠(異所性妊娠)の原因は、卵管の異常、受精卵の輸送の異常、子宮の異常などに分けられます。
卵管の異常
- 卵管内癒着、卵管周囲癒着(クラミジア感染後、子宮内膜症など)
- 卵巣・卵管の手術既往など
これらが原因で、炎症を起こして卵管の線毛上皮細胞の障害や卵管内癒着または卵管周囲癒着より、受精卵の輸送が障害され、本来の着床部以外に着床してしまいます。
受精卵の輸送の異常
- 卵の外遊走…いった受精した卵が腹腔内に排出され、発育した後、反対側の卵管に迷入し着床してしまいます。
- 体外受精・胚移植…体外受精によって着床段階まで成長させた受精卵を子宮腔内に注入する際、受精卵が子宮体部を通り越し卵管内に迷入、着床してしまいます。
子宮の異常
炎症やIUDなどの異物による子宮環境の変化が何らかの影響をおよぼし、受精卵が卵管内に着床してしまいます。
子宮外妊娠(異所性妊娠)の症状
初期では無症状のことが多く、途中から不正出血を認めることが多い。
着床部位により異なりますが、妊娠週数が進むとともに下腹部痛を伴うようになります。
痛みは徐々に圧通、反跳圧通が強くなり、ときには腹腔内出血によるショック状態となることもあります。放置すると腹部は膨隆して板状で硬くなります。
子宮外妊娠の転機としては、卵管、卵巣の流産と卵管破裂が多い。
子宮外妊娠(異所性妊娠)の診断
子宮外妊娠(異所性妊娠)の診断は以下の検査などにより総合的に診断されます。
- 問診
- 基礎体温
- 内診
- 免疫学的妊娠反応(hCG測定)
- 超音波検査
- ダグラス窩穿刺
- 子宮内膜組織診
- 腹腔鏡検査
子宮外妊娠(異所性妊娠)の治療
異所性妊娠(特に卵管妊娠)治療の原則は手術療法ですが、卵管の破裂の有無、着床部位、hCG値、胎児心拍の有無、出血量、全身の状態など、将来の挙児希望の有無などを考慮して薬物療法や保存療法の適否が判断されます。
手術療法は、開腹して行う場合と腹腔鏡下に行う場合があります。
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