妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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流産

妊娠22週未満の妊娠の中絶を流産といいます。
自然流産の発生頻度は一般には約15%で母体の加齢とともに発生頻度は高くなり、とくに40歳以上では流産率は25%にも達します。

流産の原因

流産の原因は不明なことも多いのですが、大きく分けると母体側、胎児側、母児双方の3側から考えられます。

母体側の原因

  1. 生殖器の異常…子宮筋腫、子宮発育不全、性器感染症、子宮奇形、子宮頚管無力症、卵巣嚢腫など。
  2. 妊娠の異常…妊娠高血圧症候群など。
  3. 全身性疾患…麻疹、インフルエンザ、結核、循環器系疾患、梅毒、高熱、糖尿病など。
  4. 外傷…過度な運動、打撲、転倒や転落など。
  5. 内分泌の異常…黄体機能不全、甲状腺機能異常など。
  6. 心因性…精神的ショック、ストレスなど。
  7. その他…薬剤、放射線、タバコ、ストレスなど。

胎児側の原因

  1. 胎児の異常…重篤な先天性の異常疾患など。
  2. 胎児付属物の異常…妊卵の着床不全、絨毛の発育不全、胞状奇胎、臍帯異常など。

母児双方の原因

Rh不適合、免疫不適合など。

流産の診断

出血などの症状と超音波検査から確定されます。
流産の場合はつわりの症状が消失し、基礎体温は下がり、尿中hCGも低下します。
習慣流産では子宮卵管造影法や子宮鏡ほか、夫婦の血液型、染色体検査、自己抗体(抗核抗体、抗DNA抗体、抗リン脂質抗体)などの検査が行われます。
経膣超音波検査にて、妊娠7週になっても胎児心拍動が確認されない場合や一度確認された胎児心拍動が消失した場合には流産と診断されます。
また、胎嚢経の増大不良、胎嚢の変形、絨毛膜下血腫などが確認された場合、流産となる可能性が高い。

流産の分類

流産は、時期による分類、臨床的分類などに分けることができます。

流産の時期による分類

流産は、妊娠12週未満の早期流産と妊娠12週以降の後期流産に分けられます。
自然流産と診断された約15%のうち早期流産が約13.3%、後期流産が1.6%です。
早期流産の主な原因は、胎芽、胎児の染色体異常、胎児の遺伝子病、多胎妊娠など。
後期流産の主な原因は、絨毛膜羊膜炎、頸管無力症、子宮奇形など。

流産の臨床的分類

  1. 切迫流産…流産の徴候はあるが、子宮口は閉鎖しています。胎芽、胎児は生存しており、治療により妊娠継続の可能性がある。
  2. 進行流産…陣痛様下腹部痛が発来し、出血が多く、子宮口は開大し、治療によっても流産を防止できない状態。胎芽、胎児を認めない、または胎芽、胎児を認めても心拍動が確認できない。
  3. 完全流産…胎芽、胎児および胎盤などの胎児付属物、すなわち子宮内容が完全に排出された状態。胎芽、胎児を認めず、胎嚢の消失を認める。
  4. 不全流産…胎芽、胎児および胎児付属物が完全に排出されず、一部が残留した状態。胎芽、胎児を認めない、認めても心拍動を確認できない。
  5. 稽留流産…胎芽・胎児が子宮内で死亡したにもかかわらず、無症状のまま長期間子宮内に停滞し、娩出されないもの。
  6. 感染性流産…一般的には流産経過中に子宮内感染が生じた状態をいいます。
  7. 化学的流産…妊娠反応は陽性となったが超音波検査にて、胎嚢が確認される時期(妊娠5週)以前に流産になったものをいいます。
  8. 習慣流産…3回以上の自然流産を繰り返す状態。
  9. 頚管流産…全卵が完全に子宮腔から排泄されたにもかかわらず外子宮口が開大しないために妊卵が子宮頚管内にとどまっている状態。
  10. 延滞流産…流産開始後妊卵の排出までが数週間に及ぶもの。

流産の臨床的分類別の症状

  1. 切迫流産…少量の出血、軽度の下腹部痛、下腹部の緊満感、腰痛などがあります。
  2. 進行流産…切迫流産に比べて性器出血は多く、ときに凝血塊を含み、陣痛様の下腹部痛があります。
  3. 完全流産…子宮口はほぼ閉鎖しおり、今まで存在した出血や下腹部痛が、軽減または消失します。
  4. 不全流産…出血、下腹部痛が持続します。
  5. 稽留流産…性器出血や下腹部痛はあまりなく、無症状のことが多い。
  6. 化学的流産…月経様の出血を認めます。
  7. 感染流産…発熱し、重症化すれば敗血症を来たします。

分類別流産の治療

  1. 切迫流産…安静、臥床、子宮収縮抑制剤の投与がおこなわれます。
  2. 進行性流産…妊娠継続は不可能なため子宮内容除去術が行われます。
  3. 完全流産…とくに治療はなされません。
  4. 不全流産…妊娠継続は不可能なため子宮内容除去術が行われます。
  5. 稽留流産…妊娠継続は不可能なため子宮内容除去術が行われます。
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