妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠と自己免疫疾患

自己免疫疾患とは自己の組織に対する抗体(自己抗体)によって組織の障害が起こる疾患をいい、代表的疾患として慢性関節リウマチや全身性エリトマトーデス(SLE)があげられます。

妊娠と自己免疫疾患

全身性エリトマトーデス(SLE)では妊娠期間中にループス・アンチコアグラント(LCA)を初めとする抗リン脂質抗体症候群の合併が多く、流早産や血栓症、子宮内胎児発育不全、子宮内胎児死亡をきたしやすいとされています。
新生児には新生児ループスと呼ばれる皮疹や白血球減少、肝機能障害がみられることがあります。
慢性関節リウマチは関節症状をきたす慢性非化膿性炎症であり、変性γグロブリンと自己免疫(リウマチ因子)の免疫複合体の関節髄膜への沈着に基づく疾患と考えられています。
妊娠によって症状は軽快することが多く、産褥6ヵ月以内の増悪が見られます。
治療としてはアスピリン療法が行われます。

妊娠と血小板減少紫斑病合併妊娠

血小板減少紫斑病(ITP)は、若い女性に好発する自己免疫疾患で血小板が10万以下で骨髄は正常っであることが条件となります。
血小板抗体はITPの90%で検出されますが、全身性エリトマトーデス、妊娠高血圧症候群でも検出されることがあります。

血小板減少紫斑病合の治療

ITPに対してはステロイド療法、免疫グロブリン療法、γーグロブリン、血小板輸血などがあります。

血小板減少紫斑病合の胎児、新生児に対する影響

血小板減少の原因となる血小板抗体が、胎盤を通過して胎児の血小板を破壊し、血小板減少をきたすことが指摘され、分娩時(子宮口が2~3cm開大し破水している場合)、胎児の頭から血液を採取して血小板を測定し、5万以下であれば児の頭蓋内出血を防止するために帝王切開を選択されます。最近では、臍帯穿刺による胎児血採取で血小板を測定することが可能ですが、胎児の血小板減少があるかどうかについてはなお異論があり、必ずしも胎児採血を要しないという意見もあります。
新生児に血小板減少がみられ、出血斑などがみられることもあり、時に血小板抗体を除去するために交換輸血が行われます。

妊娠と全身性エリトマトーデス(SLE)合併妊娠

全身性エリトマトーデス(SLE)は、若年女性に多い、腎変化を伴う膠原病の一つで、妊娠、出産を契機に発症、増悪します。

全身性エリトマトーデス(SLE)が妊娠に及ぼす影響

  1. 流産、早産、子宮内胎児発育遅延(IUGR)、子宮内胎児死亡(IUFP)
  2. 新生児ループス
  3. 完全房室ブロック(CAVB)
  4. 全身性エリトマトーデス(SLE)のみでなく、関節リウマチ、シェーグレン症候群でもSSーA抗体が心筋の刺激伝道系に結合し、線維化をきたすためと考えれます。

妊娠の許可基準

活動性でないこと、慢性腎炎での許可基準を満たすことが条件となります。
分娩直後に悪化することが多いので、ステロイドを増加します。

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