妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠と水痘

水痘は、水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)による初感染によっておこる感染症です。
水痘-帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルス科の亜科に属するウイルスで同様に初感染の後、知覚神経節に潜伏感染します。
水痘-帯状疱疹ウイルスは終生免疫と考えられてきましたが、再感染があることが知られるようになってきました。
水痘の感染経路は、飛沫感染と接触感染で非常に感染力が強いため注意が必要です。
水痘の潜伏期間は、14~21日程度で感染力は発疹が出現する1日前から全ての皮疹が痂皮となるまで期間で感染する可能性があります。
症状の経過は、軽い発熱とともに発疹が現れ、発疹は全身性で掻痒を伴います。
発疹は、直径3~5㎜程度の赤い紅斑で、まもなく丘疹になり水疱ができ、2~3日で乾燥し、黒褐色の痂皮をつくり、2週間前後で脱落しますが、新しい発疹が次々と出現します。
経過は一般的に軽症ですが、合併症として皮膚の二次性細菌感染、肺炎、無菌性髄膜炎、脳炎などがあり、免疫が低下している人がかかると命に関わる場合があります。

水痘の母子感染

水痘の母子感染の感染経路は、産道感染が主で、まれに経胎盤感染がみられます。
このため先天性水痘症候群はまれですが、分娩直後に母親が発症した場合は周産期水痘、新生児水痘が高率に発症します。
水痘に感染したことのない妊婦が、水痘に感染すると妊娠後期に水痘肺炎を起こし重症化することがあり、2~35%の高い死亡率ですから水痘に感染したことがない場合は、妊娠前に水痘ワクチンを接種しておく必要があります。

先天性水痘症候群

妊娠8~20週頃に妊婦が水痘を発症した場合、胎児に感染すると1~2%に先天性水痘症候群を引き起こします。
先天性水痘症候群の症状は、精神発達遅延、網膜絡膜炎、皮膚瘢痕、四肢低形成、低出生体重などがみられます。
分娩前4~5日から分娩後2~3日に発症した場合、30~40%に新生児水痘が発症し、重症化することがあります。死亡率は30%といわれています。
分娩の6日以上前に発症した場合、母体の抗VZVIgGが十分産生され、胎児に移行しているため、胎児は感染しても新生児水痘を発症しても重症化しません。

妊婦水痘の治療法

肺炎の併発がみられた場合には、積極的に水痘高力価グロブリンの投与、および抗ウイルス剤アシクロビルが投与されます。アシクロビルの妊婦への安全性は確率されていませんが、母体保護の観点から選択されます。

周産期水痘の治療法

分娩前5日~分娩後4日以内の発症では、まず抗体移行の時期が必要となるため、陣痛抑制剤などを用いて分娩を5日以上遅らせる方法がとられます。
次にヒト免疫グロブリンを用いられます。また、水痘高力価グロブリンを併用するという方法をとる場合もあります。
発症後5日以内に出生した場合は、アシクロビルが使用されます。
分娩前で母体が重症化している場合は、ヒト免疫グロブリンとともにアシクロビルを母体に投与されます。

水痘感染予防

まずは、妊婦は水痘患者に近づかないことが重要です。
水痘が流行している時期は、できるだけ人ごみへの外出は控えましょう。
水痘に感染していない場合は、妊娠前にワクチン接種を行っておきましょう。
水痘ワクチンは生ワクチンなので、妊娠中の摂取は禁忌です。

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