妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠と風疹

風疹は、別名を「三日ばしか」ともいい、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする麻疹ウイルスで起こる急性の発疹性感染症です。
風疹ウイルスの感染力は、麻疹や水痘より低く、25~50%に不顕性感染が見られ、一度感染すると終生免疫を獲得します。
風疹ウイルスの感染経路は、空気感染(飛沫核感染)の他に接触感染など様々で、潜伏期間は2~3週間で、発疹の出る2~3日前から発疹が出た後の5日くらいまでは感染力があると考えられています。
2013年風疹の大流行があり、2012年10月~2013年7月31日までに14例(暫定値)の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました。

感染と経過

感染した妊婦の症状として、発熱、リンパ節腫脹、発疹などがありますが、およそ4分の1は無症状(不顕性感染)です。妊婦が不顕性感染でも、胎児が感染しCRS発症(顕性感染)となる可能性があります。

風疹感染の診断

妊娠中の抗体価測定が行われ、風疹抗体(HI抗体)の上昇とIgM抗体陽性であれば風疹感染と診断されます。

風疹抗体(HI抗体)の評価

  • HI抗体価:8倍未満…風疹感染またはワクチン接種の既往がなく、未感染の状態である可能性が高いく、現在、風疹に感染していないが、今後、風疹に感染し母子感染が生じる可能性があります。
  • HI抗体価:8倍・16倍…風疹感染またはワクチン接種の既往があっても、時期の経過によって抗体価が低下してきた可能性が高く、今後、風疹に感染し母子感染が生じる可能性があります。
  • HI抗体価:32倍・64倍・128倍…風疹感染またはワクチン接種の機能があり、抗体価が正常に保たれており、現在風疹に感染しておらず、今後も風疹に感染し母子感染が生じる可能性は低い状態にあります。
  • HI抗体価:256倍…現在または最近風疹に感染し、急激に抗体価が上昇してきた可能性があり、風疹に感染し母子感染が生じた可能性があります。

IgM抗体の評価

IgM抗体は、初感染後4日間で全例陽性となり、1~2週間でピークを迎え、数か月で陰性化となります

先天性風疹症候群(CRS)

妊娠中、母体が風疹ウイルスに罹ると胎内感染(経胎盤感染)により胎児も風疹ウイルスに感染することがあり、感染が成立すると胎児に先天異常を生じることがあります。これを先天性風疹症候群(CRS)とよびます。先天性風疹症候群(CRS)の三大症状には、白内障、心奇形(動脈管開存症など)、難聴があります。
先天性風疹症候群がおこる可能性は、風疹にかかった妊娠時期により異なります。
胎児の器官形成期に相当する妊娠12週未満の時期に母体が風疹ウイルスに感染すると、80~90%の確立で胎児に感染し、そのうちの90%以上に典型的なCRSの症状がみられます。
妊娠18週以降では母体が風疹ウイルスに感染しても、胎児感染率は40%程度に減少しCRSを発症することはほとんどないといわれます。

風疹感染・CRS発症に予防

妊娠中、風疹ウイルスに初感染すると胎児への感染、CRS発症を防ぐ有効な手段はなく、また感染後の治療も確立されていません。
本症に対する有効な手段は、妊娠前に風疹抗体を価を測定し、免疫がない場合は風疹ワクチンを接種することで感染予防ができます。
風疹抗体価が8倍未満または8倍・16倍と抗体価が低い場合は、同居、家族への風疹ワクチン接種を勧めます。そして、接種後2ヶ月の避妊をおこないます。

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