妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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卵巣腫瘍合併妊娠

妊娠と卵巣腫瘍が合併するのは、全妊娠中0.5%で、内部の性状およびサイズによって管理・治療方針が決定されます。

卵巣腫瘍とは

卵巣にはさまざまな腫瘍ができ、大きく分けると嚢胞性腫瘍(卵巣嚢腫)と充実性腫瘍の2つに分類することができます。
また、卵巣腫瘍は臨床経過に応じて、良性、悪性、境界悪性の3群に分類されます。
卵巣腫瘍のうち約9割が卵巣嚢腫で、一般的に嚢胞性腫瘍は臨床経過としては良性のことが多く、充実性腫瘍は約75~80%程度が悪性もしくは境界悪性腫瘍です。
卵巣腫瘍は、一般に腫瘍が小さい場合は無症状のことが多く、腫瘍の増大により膀胱や直腸の圧迫による頻尿や便秘などの症状がみられるようになります。ただし、卵巣腫瘍の付け根部分がねじれること激しい下腹痛が出現することがあります。

良性卵巣腫瘍

卵巣腫瘍の80%が良性腫瘍で、そのうち頻度が高いのは袋の中にさらさらの液体が貯まったような漿液性嚢胞腺腫、袋の中に水あめの様な粘調な液体が貯まった粘液性嚢胞腺腫、原始胚細胞(卵のもとになる細胞)から発生したと考えられる胚細胞性腫瘍の類皮嚢胞腫の3つです

悪性卵巣腫瘍

悪性卵巣腫瘍は、腫瘍が卵巣内に限局しているⅠ期、骨盤内への進展を認めるⅡ期、骨盤腔を越えて、上腹部の腹膜、肝臓表面、大網、小腸に転移しているか、後腹膜リンパ節あるいは鼠径リンパ節に転移を認められるⅢ期、遠隔転移、肝臓実質への転移を伴うⅣ期に分類されます。

卵巣腫瘍とは

卵巣腫瘍の診断は、内診、超音波検査、MRI、CT、腫瘍マーカー測定などにより卵巣の大きさ、形、癒着の有無、腫瘍内部の性状、リンパ節の腫大の有無などを観察し、良性か悪性かを診断します。
治療は手術療法が原則で、手術療法には腹腔鏡下手術と開腹手術があります。
良性の場合は腫瘍のみを摘出し、卵巣実質を残す方法が選択される場合が多く、悪性の場合は腫瘍の進行期、転移の状態、病状などにより切除範囲が異なります。
卵巣がんは抗がん剤による治療効果が比較的高く術前化学療法で腫瘍を小さくして手術を行ったり、手術後に化学療法(抗がん剤治療)が行われる場合があります。

妊娠中の管理・治療方針

卵巣の腫大がみつかった場合、内部の性状およびサイズによって管理・治療方針が決定されます。
原則として卵巣摘出手術は早くても妊娠14~15週、世界的スタンダードとしては妊娠16~20週以降に行われます。これは、胎盤形成や胎児の器官形成にあたる時期(妊娠10~12週)での手術は胎児への影響が否定できないこととルテイン嚢胞との鑑別(妊娠14週)が必要となることを考慮しているためです。ただし、卵巣の茎捻転や腫瘍破裂が起こった場合は妊娠週数に関係なく手術の適応となります。

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