妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠に伴う血液性状の変化

妊娠中、血球量よりも血漿量の増加により血液量は増加します。また、妊娠時はほとんどすべての凝固因子の増加がみられます。

循環血液量の変化

妊娠時血液量増加は、血球量よりも血漿量の増加に負うところが大きい。
血球量増加は、妊娠12週頃より赤血球量増加に先立って始まり、妊娠34週ころにピークを示します。
血球量は、平均値で非妊時よりも約50%増加し、結果として血液は希釈された形となり水血症の状態となります。

赤血球・ヘモグロビン濃度、血清鉄濃度の変化

妊娠中期は、赤血球量の増加に比べて血漿量の増加が著しいため、一般に見かけ上の貧血傾向を示します。妊婦の水血症は胎児の発育に有利な因子の一つも考えられています。
妊娠初期・中期・末期各時期におけるHb、Htは、中期より低下の傾向が認められ、ほぼその値が持続します。
赤血球数は初期より単位体積中では減少がみられ、第6月に最低値を示し、それ以降ほぼ同様の値で推移します。
Hb、Htもほぼ同様に推移します。
MCH、MCVは初期より増加して第6月にピークを示し、末期に向かい低下します。
網状赤血球は初期より第5月まで増加、血清鉄は第6月から第7月にかけ減少、フェリチンは第4月より第8月にかけ減少します。
これらの結果から妊娠による循環血液量の増加に対し、妊娠第3月より赤血球産生の亢進が起こり、フェリチンの消費が始まります。第7月ごろには貯蔵鉄も大幅に消費され、鉄欠乏に近い状態となると推定されます。
すなわち、妊娠第6月までは循環血漿量増加による水血症状態であり、その後妊娠後期に向かい鉄欠乏傾向を呈してくると考えられます。

白血球の変化

白血球数は妊娠すると徐々に増加します。
非妊時の平均7000/㎜3から妊娠後期には平均10500/㎜3なります。
白血球増加の原因としては、妊娠時に増加するステロイドホルモンによる骨髄刺激作用が考えられます。分娩時に白血球はさらに急増し、20000~30000/㎜3、あるいはそれ以上に達する場合もみられ、増加は分娩時間に比例する傾向があるといわれています。
このように著しく増加した白血球数は、分娩後は減少し産褥6週ではほぼ妊娠前値に戻ります。

血小板の変化

妊娠中の血小板数にはとくに変化がみられないというのが一般的見解です。
妊娠高血圧症候群が重症化すると血小板数は減少します。

血漿組織の変化

血漿の75%は血漿蛋白によって占められています。
ヒトの血漿蛋白の中には、少なくとも100種類以上のものが存在するといわれています。これらの血漿蛋白は、血液膠質浸透圧の維持、ホルモンや薬剤の輸送、血液の凝固、線溶、免疫などに広く関与し、きわめて多彩な機能を果たしています。
妊婦では総蛋白量に減少、特にアルブミン分画の減少、αおよびβグロピン分画の増加などがみられ、それに伴ってA/G比は低下します。
血清の脂質各分画は妊娠中期後著しい増加をしめします。

血液凝固能の変化

妊娠時はほとんどすべての凝固因子の増加がみられ、凝固系の亢進、線溶制御状態となることが知られています。

線溶活性の変化

プラスミノーゲンは、組織プラスミノーゲンアクチベータによってプラスミンとなり線溶活性を示すが、妊婦においては一般に線溶活性は低下しているといわれています。

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