妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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妊娠に伴う消化器の変化

妊娠は食道、胃、腸などの消化器官に影響を与えます。

妊娠と食道の変化

半数以上の妊婦は食道部の不快感、いわゆる”むねやけ”を訴えます。通常、妊娠後半期に起こりやすい。
食道下部平滑筋の蠕動運動はプロゲステロンやエストロゲンに反応して低下し、同時に噴門部括約筋は弛緩します。さらに、妊娠子宮の増大により胃が圧迫され胃の内容が上昇するため、酸性の胃内容物が食道に逆流しやすくなります。いわゆる逆流性食道炎が起こり、胸焼けが発症すると考えられています。治療としては制酸薬の投与が有効です。
このような異常hCGは絨毛性疾患で多く産生されるため、とくに妊娠悪阻が強いのであろう。
以上をまとめると、正常妊婦では妊娠初期、hCGの増加により甲状腺が刺激され、(free)T4が若干増加し、逆にTSHは若干抑制されおり、軽度の甲状腺機能状態にあるといえます。
この時期にちょうどつわりが出現するが、何らかの原因でhCGが著増し、甲状腺機能亢進が高度となると妊娠悪阻が強く出現するものと考えられています。

妊娠と胃の変化

妊娠後半期には子宮の過度伸展に圧迫されて胃の転移が起こり、横隔膜下で左下方に押し上げられて、軸は45度回転します。
従来より、妊娠中はプロゲステロンの増加と妊娠子宮の増大による器械的圧迫により胃の蠕動性が低下し、胃内容の排出時間が遅延すると考えられていましたが最近では、妊娠中には特に運動性は低下せず、分娩時に著明に低下し、胃内容の排出が遅延するものと考えられています。
また、胃酸の分泌は妊娠中期までには低下しますが妊娠後期には増加するため、分娩後の全身麻酔は胃内容の逆流による嚥下性肺炎を起こす危険性が高いので特に注意が必要です。

妊娠と腸の変化

妊婦さんの多くは便秘を訴えます。これは弛緩性便秘と直腸性便秘によります。
弛緩性便秘はプロゲステロンの増加による腸管の運動低下により、直腸性便秘は妊娠子宮の増大による機械的圧迫により大腸での排出遅延が起こり、便の水分が普通以上に吸収されるために起こります。
便秘の原因としては、ほかに神経性因子や不規則な食習慣なども関係します。また、妊婦は便秘となる一方、栄養分の吸収は亢進していると考えられています。
イレウスも便秘と同様の理由によるが、妊娠に合併する場合は開腹術後の癒着製イレウスが多いようです。
便秘の予防は、規則正しい食習慣、繊維質の多い食物の摂取、緩下剤投与などがあります。
妊婦に起こりやすい合併症として、痔疾患、脱肛があります。
妊婦は子宮の増大のため、下肢や骨盤内に静脈瘤が発生しやすく、これに便秘傾向も加わって痔疾患になりやすく、とくに直腸静脈などの刺激物をさけることです。なお、必要に応じて座薬、軟膏を用います。
妊娠中の虫垂は子宮の増大により次第に右上方へ移動するため、妊婦は虫垂炎は妊娠週数により圧痛点が移動します。このため診断が手遅れになりがちです。
虫垂炎が穿孔した場合、炎症の波及を防止する役目の大網が子宮により上方に押しやられているがめ、汎発性腹膜炎になりやすく注意を要します。
妊娠による腹腔内圧の上昇、腹壁およびそのほかの支持組織の弛緩などにより妊娠経過とともにヘルニアの発生頻度が増加します。
鼠径ヘルニアは嵌頓しない限り待機的に対応し、産褥復古後必要であれば手術が行われますが、手術を必要としない例も多い。

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