妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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肺結核合併妊娠

肺結核は今でも年間17000人以上の新しい患者が発生しています。

結核とは

肺結核は、結核菌が飛沫伝播により人から人へ感染し、発病する伝染性の呼吸器感染症をいいます。結核患者の発生率は年々減少はしていますが、最近は10~29歳の若年者の占める割合はむしろ増加傾向を認め、またそうのうち女性の占める割合が高く、結核の患者数の増加が続いているため『結核緊急事態宣言』が発表されました。
結核に感染したからといって発病するとは限らず、感染した人が発病する確率は5~10%といわれ、感染してから2年くらいの内に発病することが多く、発病者の60%くらいの方が1年以内に発病しています

肺結核の症状とは

肺結核の初期の症状は風邪のような症状がみられ、発熱(微熱)、寝汗、倦怠感、食欲不振、体重減少なで、発熱(微熱)は朝にはみられず午後から夕方にみられます。進行すると、咳、痰、血痰、呼吸困難などがみられます。

肺結核の検査・診断

肺結核は、問診などにより肺結核が疑われた場合は、胸部レントゲン、ツベルクリン反応などがおこなわれ、確定診断のために痰を採取して結核菌を調べる喀痰検査がおこなわれます。さらに、感染危険性を評価するするための抗酸菌塗沫検査がおこなわれます。

妊娠と結核

妊娠・分娩が結核に悪影響をを及ぼすことはなく、十分な治療が行われていれば再燃の危険は少ないとされています。しかし、結核が妊娠に及ぼす影響としては、妊娠高血圧症候群、出血の合併率、帝王切開率も高いとされています。
赤ちゃんに及ぼす影響影響としては、先天奇形の発生率は正常妊娠と有意差はないとされています。しかし非常に稀ですが、血行性または羊水感染により先天性結核を起こすことがあり注意が必要です。

肺結核妊娠の治療

妊婦および胎児にとって未治療結核のリスクは、治療薬の副作用等のリスクよりもはるかに高く、未治療結核の妊婦から生まれる新生児は、そうでない妊婦からの新生児に比して低体重となる可能性があり、また、まれではあるが先天性結核の危険もあります。
活動性の結核の場合には妊娠週数にかかわらずただちに治療がおこなわれます。
ストレプトマイシン以外の抗結核剤では明らかな胎児毒性や催奇形性は認められず,妊娠中の治療薬としてイソニアシド(INH)+リファンピシン(RFP)+エタンプトール(EB)の3剤併用療法が推奨されています。INH、RFP、EB は胎盤を通過するが催奇形性は証明されていません。通常結核とその治療のために人工妊娠中絶を行う医学的適応はありません。

肺結核合併妊娠の管理

排菌していたり、活動性のある結核の治療を完了していない場合は、分娩直後から新生児は隔離する必要があります。
肺結核の母親から生まれた児には、ツベルクリン反応を3~4か月ごとにおこない、また、危険性の高い母親から生まれた児に対してはINHの投与をおこない、BCGによる予防接種を行う必要があります。

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