妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児の腎・泌尿器系の成熟

腎臓は腰のやや上に左右1個ずつあり、老廃物や水分などを排泄し、尿をつくるための臓器であるだけでなく、体内の水分量を調節したり、電解質の濃度を調整しています。
また、腎臓は、血圧を調節するホルモンや造血ホルモン(エリスロポエチン)の産生などの内分泌機能もあります。さらに、ビタミンD3の活性化、リン排泄にも関与し、カルシウム・リンを中心とした骨代謝にもかかわっており生命と健康を維持するために、重要な働きをしています。
しかし、胎児の体液ならびに電解質バランスは、胎盤により調節されているため、胎児の腎機能はほとんど必要とされていません。

腎臓の形成

腎系は、前腎、中腎、後腎の3つの部分が頭側から尾側へと形成されます。

前腎の形成

前腎は、妊娠6週のはじめころに頭部に7~10個の細胞群として現れます。
しかし、妊娠6週の終わりころには前腎系は完全に消失します。

中腎の形成

中腎と中腎管は中間中胚葉から発生します。
妊娠6週のはじめ、最初の中腎細管が現れ始め、急速に成長してS字状ループを作り、内側端で糸球体を作る毛細管の房状分岐と一緒になります。
糸球体のまわりで細管はボーマン嚢を形成し、ボーマン嚢と糸球体が一緒になって腎小体が形成されます。細管は外側端に中腎管またはウォルフ管とよばれる集合管に入ります。
妊娠2ヶ月の終わりの頃に中腎は正中線の両側で大きな卵型の器官となります。
中腎の尾側の細管はさらに分化し続けますが、頭側の細管と糸球体は退行的変化がみられ、妊娠3ヶ月のはじめころには腎細管の大多数と子宮体は消失します。
少数の尾側の細管と中腎管は男の子においては残存して生殖器系の形成に代わり、女の子においては消失します。

後腎(永久腎)の形成

後腎は妊娠7週のころに現れ、ネフロンは後腎中胚葉から発生します。
後腎の集合管は中腎管が排泄腔は開口する付近で中腎管から増生し尿管芽から発生します。尿管芽はその末端を帽状に覆う後腎組織へ侵入します。引き続き尿管芽は拡張し、原始腎盂を形成し、同時に頭側と尾側に分かれ、将来の大腎胚となります。
その後、それぞれの腎杯は細分化を重ねて多くの細管を形成し、肥大した細管は細管を吸収して腎盂の小腎杯を形成します。
尿管芽からは尿管、腎盂、大・小腎杯および約100万~300 万の集合細管が形成されます。

膀胱・尿管の形成

膀胱は妊娠6~9週の間に原始腎と消化管の排泄物貯蔵のために排泄腔として形成され、尿直腸中隔により前方の尿生殖洞と後方の肛門管に分けられます。この洞の前方部が膀胱に分化し、残りの部分は男性では尿道の前立腺部と隔膜部に、女性では尿道に分化します。

胎児の尿

胎児の尿量は、超音波を用いて測定することができます。
胎児は妊娠8~11週で尿を産生し始めるようになり、妊娠24週ころには5ml/時ですが、妊娠32週を超えると急速に尿量は増加し、出生近くになると50ml/時以上もの尿を産生することができるようになります。
妊娠中期以降の羊水の大部分は胎児が排泄する尿からなり、腎・尿路異常を伴う胎児の場合は羊水量の減少がみられる場合は、胎児の腎機能が障害されていることを意味します。

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