妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児の中枢神経系の成熟

ヒトの神経系は中枢神経系と末梢神経系の2つに分けられます。
中枢神経系は脳と脊髄からなり、末梢神経系は感覚神経および運動神経からなります。
ヒトの中枢神経系は、早い時期から発生します。

神経管の発生と脳胞の形成

中枢神経系は外胚葉に由来し、妊娠5週ころに神経板として出現します。
その後、神経板の外側縁が隆起して神経ヒダ形成され、その後も隆起を続け、互いに融合して神経管が形成されます。
妊娠6週には神経管の頭部側が膨らみ前脳胞、中脳胞、菱脳胞(後脳胞)が形成され、これを一次脳胞といいます。
さらに前脳胞は終脳胞と間脳胞、菱嚢胞は後脳胞と髄脳胞になり、中脳胞と合わせて5つの二次脳胞が形成されます。
その後、二次脳胞はさまざまな部分に分化します。
終脳胞は大脳半球を、間脳は眼胞、視床、視床下部、下垂体を、中脳胞は中脳水道を、後脳胞は小脳と橋を、髄脳胞は延髄を形成します。

脳の形成

中枢神経は外胚葉から発達し、受精卵が分裂をはじめ、子宮内に着床するころ、つまり受精後17日頃にはすでに神経系のもとになる神経板が形成されます。神経板の左右1対のヒダ状隆起とそれらの間に縦長のくぼみ、神経溝が発生し、受精後約3週目には神経溝はやがて閉じて神経管となります。
この神経管の頭方端が膨らんで脳が形成され、前方は前脳、中脳、菱脳となります。その後、前脳は終脳と間脳に、菱脳は後脳と髄脳に分かれ、最終的に終脳が大脳、後脳が橋と小脳、髄脳が延髄に分化します。
胎齢22週には、脳の基本的な構造は成人とほとんど変わりませんが、大脳表面の脳回や脳溝はまだまだ少なく、外観上は未熟性が残り、週数がすすむにつれてさらに成長していきます。
脳の形態的、機能的成熟は非常に長い時間が必要で生後1年くらいかけて発達していきます。

胎児の神経細胞

脳の中で情報をやりとりしている最小単位は神経細胞(ニューロン)です。
神経管のチューブ状の膜の中でマトリックス細胞が分裂し始め、神経細胞となります。
神経細胞の分化は、受精後4週頃に脊髄で始まり、脊髄の細胞がほぼ分化を終えた受精7週頃に大脳で神経細胞への分化が始まります。
神経細胞は分化し、他の神経細胞から情報を受け取るための樹状突起や他の神経細胞への情報を伝えための軸索を介して、神経細胞間のネットワークが形成されます。
受精後10週頃には、脊髄の神経細胞が手足の末端まで伸び筋肉と結合し、胎児は子宮内で活発に活動するようになります。
受精後13週頃になると脳幹の神経細胞が完成し、大脳では神経細胞が作られ大脳皮質の形成が活発となり、受精後17週頃になると140億個程度の神経細胞が大脳皮質を形成します。大脳の神経細胞はピークを向かえ、その後は増えることはなく減少します。

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