妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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胎児の循環器系の成熟

心臓は、臓器のなかでもはやく機能し始める器官です。
心臓は、右心室、右心房、左心室、左心房の4つの部屋に分かれています。
心臓は血液を送り出すポンプの役割を果たしており、左心室から全身に血液が送り出され右心房に戻ってくる体循環と右心室から肺へ血液が送り出され左心房に戻ってくる肺循環にわけられます。

胎児の循環器系の発達

胎児の血液は妊娠5週の末までに循環をはじめます。血液は酸素や栄養を運び、二酸化炭素を排出するという重要や役割を担っているため、胎児の循環器系の発達は早期に確立します。

胎児の心臓と血管系の初期の発生

胎児の心臓は妊娠5~6週に筒状の原始心臓が形成され、血液は大動脈弓(鰓弓)をとおり、背側大動脈から全身に送られます。同時に血液が臍動脈、卵黄嚢動脈へ流れ、栄養や酸素を取り込みます。
原始心臓に戻ってくる血液は、卵黄嚢からの卵黄嚢静脈、縦毛膜からの臍静脈、全身からの総主静脈の3本の静脈で運ばれます。

胎児の心臓の形成

胎児の心臓は妊娠3週には形態が整い、妊娠4週には拍動を開始します。
発生初期の心臓は前側方中胚葉に現れる1本の単純な筒である原始心筒と呼ばれる心臓原基の形成に始まります。心臓原基は馬蹄形状に形成され、発生が進むにつれ正中線上で融合し、1本の原始心筒を形成し、拍動を始めます。
筒状であった胎児の原始心臓は、ループを作るように右側へ傾いていき、心臓を機能的に左右に分けられます。心臓の静脈側が右へ傾き、左心室が大きくなります。
原始心臓は、1つの心房と1つの心室からなっていますが、妊娠7~9週に原始心房は左右の心房に分かれ、その後も心ループが分割されることにより左心室、右心室、左心房、右心房が形成されます。その後心臓内部に弁や中隔が形成されることにより2心房2心室を有する機能的な心臓が形成されます。

胎児の心拍数

胎児の心拍数は最初65拍/分くらいのゆっくりしたものだったものが、妊娠6週では125拍/分となり、妊娠9~10週頃には175拍/分と最高となり、その後は減少し妊娠後期では100~160拍/分で安定します。
胎児の心筋の収縮は洞結節の刺激伝統系により制御されていますが、この刺激伝道系は妊娠16週には完成します。
副交感神経系の迷走神経による心拍数制御は、妊娠15週には存在し、妊娠週数とともに胎児の基準心拍数が減少していくのは、この迷走神経の活動によるものであると考えられています。一方、胎児の交感神経系は副交感神経系に遅れて妊娠中期以降に発生し、出生前後になって急速に発達します。

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