妊娠中の鉄摂取
鉄は人に必要なミネラルの一種で、約70%が血液中の赤血球のヘモグロビン存在し、残りの30%は、肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵されています。
食品中に含まれる鉄分は、ヘム鉄と非ヘム鉄とに分けられ、ヘム鉄は還元型であるため、たんぱく質が結合したそのままの形で十二指腸から空腸上部で吸収されます。非ヘム鉄はそのままの形では吸収されず、還元された後、吸収されます。
鉄のはたらき
- 酸素と結合し、血液によって体内に酸素を供給する。
- 血液中の酸素を細胞内に取り込み筋肉の収縮が起こる。
- 代謝などに必要な酵素を活性化させる。
鉄の摂取状況
2019 (令和元) 年の国民健康・栄養調査では女性の鉄平均摂取量は7.3mg/日で、食事摂取基準に定められた食事摂取基準の推奨量に足りていません。
妊娠期の鉄の付加量
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では18~49歳女性の鉄の推奨量は月経なしで6.5mg/日、月経ありで10.5mg/日となっています。
妊婦の付加量としては、妊娠初期では+2.5mg/日、妊娠中期・後期では+9.5mg/日、授乳婦の付加量は+2.5mg/日です。
妊婦の鉄の過剰摂取
食事による鉄の過剰症を起こすことはほとんどありません。
注意が必要なのはサプリメントや鉄分を強化した食品などを過剰に摂取すると、便秘、胃腸障害、鉄沈着、亜鉛の吸収阻害などが起こる可能性があります。
妊婦の鉄の不足
鉄不足は、妊婦・授乳婦で多く見られ、代表的な欠乏症は鉄欠乏性貧血で症状としては頭痛やめまい、動悸、息切れなどが起こります。
妊娠と鉄
妊娠期は、胎児の成長、臍帯・胎盤の形成、循環血液量の増加に伴う赤血球量の増加などに伴って鉄の需要は増加します。
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