妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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耐糖能スクリーニング検査

妊婦健康診査で行われる耐糖検査である75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)、グリコヘモグロビン検査(HbA1c)、インスリン(IRI)反応などにより妊娠中の妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、母子双方の肥満や糖尿病などの早期発見、管理することができます。

耐糖能とは

耐糖能とは、血糖値の上昇に対して血糖値を一定の範囲内に戻す能力のことで耐糖能はインスリンの分泌反応・分泌量・作用によって決定されます。
すなわち、体内で消化吸収されブドウ糖は、エネルギーとしてすぐに消費されるもの以外は、肝臓や筋肉組織等でグリコーゲンとして、さらには脂肪組織に中性脂肪として貯蔵されます。エネルギー源として血糖が消費されて、血糖値が低下すると貯えられたグリコーゲンが分解されて、ブドウ糖をさらに血液中に放出し、血糖値を一定値以上に保つように働きます。
インスリンはこのような栄養分の出し入れにはたらき血糖値を正常にたもっています。
このような一連の作用を通じて血糖値を正常に保つはたらきを耐糖能と言います。

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

検査当日の朝まで10時間以上絶食した空腹のまま採血し、血糖値を測ります。次にブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの)を飲み、ブドウ糖負荷後、30分、1時間と2時間後に採血し、血糖値を測るという検査です。

インスリン(IRI)反応

インスリン(IRI)反応の測定はグルコース負荷試験を行い、糖の上昇に見合ったインスリンが分泌されているか否かを判断します。

妊娠中の耐糖能スクリーニング検査

妊婦健康診査で行われる耐糖能スクリーニングの必要性、検査の時期、目的などは以下のようなことがあげれます。

妊娠中の耐糖能スクリーニングの必要性

妊娠糖尿病(GDM)は、以下のような問題があいます。

  1. 奇形、巨大児、出産時障害、帝王切開率の上昇など多くの周産期合併症が増加する。
  2. 母体が将来2 型糖尿病を発症する可能性が高い。
  3. 児が将来2 型糖尿病や肥満などの発症する頻度が上がる。

妊娠中に耐糖能スクリーニングをおこなうことでこれらを予防することができ、将来の母児に対する医療費削減の効果が期待できるためは大きいと考えられます。

耐糖検査の時期

耐糖能スクリーニングを行う時期は国際的には妊娠24~28週が推奨されていますが、日本では妊娠初期に多くの妊娠糖尿病(GDM )が発見されるという報告から妊娠初診時にも行うことが望ましいと考えられます。
妊娠糖尿病(GDM )の中には見逃されていた糖尿病と考えられる症例があり、これは日本人のインスリン分泌が低く、かつインスリン抵抗性が強いという遺伝子的背景を有していることと近年のライフスタイルの変化より若年糖尿病の発症率が増加していることによるものと考えられています。
見逃されていた糖尿病と考えられる妊娠糖尿病(GDM)の周産期予後が、それ以外の妊娠糖尿病妊娠糖尿病(GDM)よりも悪いことが知られてため本来であれば妊娠前の耐糖能スクリーニングが必要であると考えられます。
しかし、それは難しいため少なくとも妊娠判明後可及的速やかに妊娠糖尿病(GDM)のスクリーニングを行うことが重要であると考えられています。

妊婦の耐糖能検査法

  1. 妊娠糖尿病(GDM)スクリーニングを全妊婦に行う。
  2. スクリーニングは以下に示すような二段階法を用いて行う。
    1)妊娠初期に随時血糖測定(カットオフ値は各施設で独自に設定する) 随時血糖値≧200mg/dL 時には75gOGTT は行わず、4 の①~③の有無について検討する。 2)妊娠中期(24~28 週)に50gGCT(≧140mg/dL を陽性)、あるいは随時血糖測定(≧100mg/dL を陽性)。その対象は妊娠初期随時血糖法で陰性であった妊婦、ならびに同検査陽性であったが75gOGTTで非GDM とされた妊婦。
  3. スクリーニング陽性妊婦には診断検査(75gOGTT)を行い、以下の1 点以上を満たした場合にはGDM と診断する。ただし、2 時間値≧200mg/dL時には 4 の①~③の有無について検討する。
    ①空腹時血糖値≧92mg/dL(5.1mmol/L) ② 1時間値≧180mg/dL(10.0mmol/L) ③ 22時間値≧153mg/dL(8.5mmol/L)
  4. 以下のいずれかを満たした場合には“妊娠時に診断された明らかな糖尿病と診断する。
    ①空腹時血糖値≧126mg/dL ②HbA1c≧6.5%(HbA1c(JDS)≧6.1%)※(註) ③確実な糖尿病網膜症が存在する場合 ④随時血糖値≧200mg/dL あるいは75gOGTT で2 時間値≧200mg/dL の場合* ※いずれの場合も空腹時血糖かHbA1c で確認
  5. GDM 妊婦には分娩後6~12 週の75gOGTT を勧める。“妊娠時に診断された明らかな糖尿病”妊婦では耐糖能について再評価する。

この検査は血液中の血清蛋白(アルブミン等)と血糖が結合したものを測定し、HbA1cと同様に過去の血糖値を推測するものです。

グリコアルブミン(GA)

グリコアルブミンとは、血液中の蛋白質に含まれるアルブミンとブドウ糖が結合したものです。アルブミンが半分になるまで約17日であることから過去2~3週間の平均血糖値が分かります。HbA1cに比べてより早く大きく反映します。
高血糖の期間が続いているとグリコアルブミンの値は高くなります。

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