過活動膀胱

過活動膀胱（OAB）とは、尿漏れや尿漏れには至らないまでも尿禁制（自分の意志に反して、自分が排尿しようとしていないのに不適切な場面で尿が漏れ出てしまう状態）の低下や下部尿路の刺激症状により、頻回の排尿やパットの使用が必要になる状態をいいます。
最近の調査でわが国では40歳以上の成人において810万人以上の過活動膀胱の患者がいると推定されています。

過活動膀胱の原因

過活動膀胱は、原因不明の場合が多いのですが、女性の場合は出産や加齢などにより膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底の筋力の低下、精神的ストレスなどの心因性、脳梗塞、パーキンソン病などの神経の異常、自律神経の乱れなど様々ことが関係していると考えられています。

過活動膀胱の症状

過活動膀胱は、特徴的な症状には尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁の3つがあります。

• 尿意切迫感：急に抑えられない強い尿意が起こり、これ以上我慢すると尿をもらしてしまいそうになる感じをいいます。一旦尿意が気になり始めると我慢できなくなる。
• 頻尿：日中が8回以上、夜間は1回以上頻繁にトイレに行く、または2時間以上持たない。
• 切迫性尿失禁：排尿したくなってすぐに我慢できずに漏れてしまう。漏れる量はほんの少しのことが多い。

過活動膀胱の診断

過活動膀胱は症状で判断がおこなわれ、過活動膀胱症状スコア（OABSS）という問診票が使用されます。

【結果】
※質問3が2点以上で、合計点数が3点以上を過活動膀胱の診断基準となっています。

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療法には、薬物療法と行動療法が基本となります。

過活動膀胱の治療

薬物療法としては、排尿筋の不随意収縮を抑える抗コリン薬と膀胱を弛緩させ、蓄尿機能を高めるβ3刺激薬の2種類のほかに漢方薬があります。

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の行動療法には、膀胱訓練や骨盤底筋体操などがあります。
膀胱訓練とは、トイレに行く間隔を少しずつ延長することで膀胱容量を増加させる訓練法です。
骨盤底筋体操とは、骨盤底筋を意図的に収縮することにより排尿筋収縮反射が抑制されるといわれ、機能の弱まった膀胱や骨盤底筋を鍛えることによって、尿トラブルの症状を軽くすることができます。