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麻疹(はしか)

麻疹は麻疹ウィルスで起こる感染力の強い発疹性疾患で、感染症法に基づく4類感染症定点把握疾患です。
麻疹に対して免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われ多くは乳幼児期にかかる病気です。
ママが麻疹に罹っていたり、予防接種を受け、その後感染した場合は、赤ちゃんは生後6か月くらいまで罹る可能性は低くなります。逆に、ママが麻疹に罹っていない、または予防接種を受けたがその後流行がなく感染していない場合は、赤ちゃんは抗体を持っていないかもしくは抗体の値が低いため、生後6か月未満でも麻疹に罹る可能性があります。

麻疹の感染経路

麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染(飛沫核感染)の他に、さらに、飛沫感染、接触感染など様々な感染経路で感染します。

麻疹の潜伏期間

麻疹ウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は8~13日(平均10日)で、感染力はカタル期に最も強く、発疹期に入ると急速に弱まります。多くは発疹の出る4日前から5日後までが感染力があります。

麻疹の症状と経過

麻疹は一般的に決まった経過をとり、主症状から、カタル期、発疹期、回復期の3期に分けられます。

カタル期

感染後に潜伏期10~12日を経て発症する。38~39℃前後の発熱が2~4日間続き、不機嫌となり、咳、鼻水、くしゃみなどの上気道炎症状と結膜充血、眼疹などの結膜炎症状みられ、次第にこれらの症状が強くなります。発疹がみられた1~2日前後に頬の粘膜にやや隆起し赤みをおびた約1㎜程度の白いコップリック斑と呼ばれる小斑点が出現します。コップリック斑は90%以上に出現するため麻疹の診断の決め手となります。

発疹期

発症後3~4日目頃の発熱がいったん解熱下降した後、半日くらいのうちに再び高熱が出現するとともに境界鮮明な斑状丘疹が耳後部、頚部、前額部より出現し、顔面、体幹部、上腕、四肢と全身に広がっていきます。発疹ははじめ鮮紅色扁平であるが、まもなく皮膚面より隆起し、融合して不整形斑状(斑丘疹)となります。発疹は次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色する。発疹期にはカタル症状は一層強くなり、特有の麻疹様顔貌を呈する。この時期は咳、鼻水、くしゃみ、眼球結膜充血、眼脂などの症状がとても強くあらわれます。

回復期

発疹出現後3~4日間続いた発熱も回復期に入ると解熱し、カタル症状は軽快し、全身状態が改善してきます。発疹は退色し、バラ色から暗赤色~色素沈着へと変化し、糠状の落屑がみられます。合併症のないかぎり7~10日後には回復する。

麻疹の診断

症状からみた診断としては、38.5℃以上の発熱、咳嗽、鼻汁、結膜充血などのカタル症状、コプリック斑、発疹期には耳後部から下方にかけて発疹が現れると麻疹の可能性が高い。
しかし、臨床症状で麻疹と診断された患者の中に麻疹ではない症例が紛れ込んでいることがあるため、麻疹と臨床診断された患者については、麻疹ウイルスの直接検出による検査診断を実施することがすすめられています。

麻疹の治療

麻疹ウイルスに対する抗ウィルス薬はありません。
合併症がなければ特別な治療に必要性がなく、解熱剤、咳止め、去痰剤などが処方され対症療法と安静で軽快します。脱水があれば点滴がおこなわれ、細菌性二次感染に対しては抗生物質が用いられます。接触後6日以内であれば免疫グロブリンを投与することで発症阻止、軽症化が期待できます。
また、接触後72時間以内であれば、ワクチンによる発症阻止、軽症化が期待できます。
予後は合併症がなければ良好です。

麻疹の合併症

麻疹の合併症は30%にみられ、肺炎、咽頭炎、脳炎、中耳炎などがあり、患者100人中肺炎は6人、中耳炎は7~9人、脳炎は1000人に1人、急性硬化性全脳炎(SSPE)は10万人に1人みられ、重症化すると死亡することがあります。

麻疹の予防接種

麻疹を予防するにはワクチン接種が有効です。
麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を1期(1歳にになったら)Ⅱ期(小学校入学の前年)を受けることで発症の予防や重症化予防が期待できます。

ママへ

麻疹ウイルスに有効な薬はなく、症状に応じた治療が中心となりますので、症状が見られたら速やかに小児科を受診してください。
高熱が出ているときは水分補給を行い、汗をかいたらこまめに着替えを行い、氷嚢などで冷やしてあげましょう。
消化器症状がみられることがありますから消化の良いもの、口当たりの良いものを中心に あげてください。
肺炎・脳炎などの合併症の疑いのある時は入院が必要になりますので、様子をよく観察し心配なときにはお薬が残っていても再受診してくださ い。 
ワクチン接種は予防に効果が高いですから予防接種を1歳を過ぎたら必ず受けるようにしましょう。

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