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RSウィルス感染症

RSウィルスによる、乳幼児の最も頻度の高い冬季の呼吸器感染症です。
母体移行抗体(ママからもらった免疫)の存在する乳幼児期の早期にも感染し、発症します。
低出生体重児や心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全のある場合には重症化のリスクが高くなります。
生後1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼ100%が初感染がみられ、そのうち30~40%が下気道炎(肺炎、気管支炎、細気管支炎など)を発症し、1~3%が重症化し入院治療が必要となります。
RSウィルスに感染しても、終生免疫は獲得されないため、再感染は起こりますが一般的には年長児以降では重症化はしません。

RSウィルス感染症の感染経路

RSウィルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染の2種類があります。

RSウィルス感染症の潜伏期間

RSウィルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は2~8日(通常は4~6日)です。
ウィルス排泄期間は7~21日と長いため、感染が広がりやすい特徴があります。

RSウィルス感染症の症状

RSウィルスに初感染した場合、軽いかぜ症状から重症の細気管支炎や肺炎などの下気道疾患まで様々です。
一般に初感染は咳、鼻汁などの上気道症状が2~3日続いた後、感染が下気道、とくに細気管支に及ぶと無呼吸性喘鳴、呼吸の延長、多呼吸など細気管支炎症状を呈してきます。生後1か月未満の新生児には頑固な無呼吸がみられることがあります。
初感染乳幼児の7割は、上気道症状のみで数日のうちに軽快し、残りの3割は咳や鼻汁などの初期症状から2~3日後に咳がひどくなり、細気管支炎や肺炎などの下気道炎を起こします。
1歳未満、特に6か月未満の乳児、心肺に基礎疾患を有する小児、早産児が感染すると呼吸困難などの重篤な呼吸器疾患を引き起こし、入院、呼吸管理が必要となる。乳児では、細気管支炎による喘鳴(呼気性喘鳴)が特徴的である。
流行期には10~20%が再感染し、保育所など集団で生活する環境では60~80%が再感染するといわれますが、再感染するたびに症状は軽くなり大人になると普通のかぜ症状でおさまるようになります。

RSウィルス感染症の診断

季節性や臨床症状から強く疑うことができます。
RSウィルスの診断は、鼻汁中のRSウイルス抗原を迅速診断キットが使用されます。
RSウィルスの検査キットは、キット付属の綿棒を鼻腔内にゆっくり挿入し、鼻甲介周辺を綿棒の先端でこするようにして検体を採取たもので検査します。
この検査は2003年から3歳未満の入院患者に限定して保険適用とされていましたが、2006年4月より入院患者に拡大され、さらに、2011年10月より一歳未満児及びパリビズマブ製剤の適用患者も対象となりました。保険適用の拡大により、早期診断および流行状況のより正確な把握ができるようになりました。

RSウィルス感染症の治療

RSウイルスのワクチンも抗ウイルス薬はありませんので、乳幼児に対しては症状を抑える対症療法が主となります。
対症療法では、鼻汁や気道分泌物の吸引・除去、気管支拡張剤の投与がおこなわれ、水分補給、栄養、保温に気をつけ経過を見る事になります。
肺炎、細気管支炎等重症化した場合は入院して輸液、酸素、抗生物質の投与等を行います。

ママへ

RSウィルスに対してはママのおなかの中にいるときにもらった免疫では感染を防ぐことはできません。3~6か月ぐらいの赤ちゃんは免疫力が弱く重症化しやすいので、その時期には感染しないようにすることは大切で、流行の時期や流行のきざしがみられるときには、人ごみの中への外出は控えるようにしましょう。
感染者との接触や感染者から飛散した気道分泌物が付着したおもちゃやおしゃぶりなどによって感染することがありますから手をよく洗ったり、おもちゃやおしゃぶりなど赤ちゃんがお口に入れるものは清潔にしておいてください。
RSウイルスは、消毒薬に弱いので、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用アルコール、ポピドンヨードが有効です。
風邪のような症状のあと、ゼイゼイとせきが続く、呼吸が浅く速くなる、たんが詰まるなどの様子が見られたら早めにかかりつけ医を受診してください。

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