妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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先天性股関節脱臼

先天性股関節脱臼とは、大腿骨頭が関節包の中で脱臼している状態をいいます。
新生児、乳児に好発する股関節疾患で、脱臼しやすい状態から脱臼までの総称であり、臼蓋形成不全、亜脱臼、脱臼が含まれます。
最近では周産期および出生後の発育過程で脱臼が生じることがわかってきたため発育性股関節脱臼(DDH)と呼ばれるようになっています。
発生率は0.1~0.3%で、男女比は1:5~1:9で女児に多く認められます。

先天性股関節脱臼の原因

先天性股関節脱臼の原因はまだはっきりとわかっていませんが、出生時に何らかの脱臼準備状態にある股関節が出生後の要因が加わって股関節脱臼に進展すると考えられています。

先天性股関節脱臼の症状

股関節脱臼があっても赤ちゃんは痛がって泣くということはほどんどありません。
股関節脱臼の症状としては、膝を曲げたとき股の開きが悪い、膝の高さが左右非対称、足をのばすと太ももの内側にできるしわが左右非対称で、片方の下肢が短くみえるなどがみられます。
また、両膝に手をあて、左右に開くとき「クリッ」という音がすることもあります。これはクリック音といいます。
股関節脱臼があることに気付かず、未治療で放置された場合には、歩行の発達が遅れ、歩行開始後には引きずるように歩く跛行がみられるようになります。

先天性股関節脱臼の検査・診断

先天性股関節脱臼とは、新生児健診、乳児健診などで医師による診察により発見されることがありますが、近年のオムツの当て方や抱っこの仕方などの指導がおこなわれ、先天性股関節脱臼が減少したため、健診での慎重な診察がおこなわれず見逃されるケースが増えていることが問題となっています。
母親や保母さんなどが赤ちゃんの足の異常に気付き、受診し発見されることもあります。
先天性股関節脱臼の診断には、専門医による詳しい診察のあと、確定診断のためにX線撮影や超音波検査がおこなわれます。

先天性股関節脱臼の治療

先天性股関節脱臼の治療は、脱臼の程度によりことなります。
臼蓋形成不全のみであれば、装具なしで経過を観察します。
亜脱臼・軽度の脱臼の場合は、矯正装具のバンドのリーメンビューゲルという装具による治療がおこなわれます。リーメンビューゲル法は適応月齢は3か月から6か月が良いとされています。
重症の脱臼の場合は、入院での牽引療法、あるいは手術的な整復術が必要となります。

先天性股関節脱臼の早期発見

股関節脱臼の診断、治療が遅れると関節が外れたままで骨の成長が進んでしまうため、リーメンビューゲル法での治療期間が長くなったり、手術療法が必要となる場合がでてきます。
健診の発見されないケースもありますのでママやパパが赤ちゃんの足を観察し、心配であれば専門医を受診しましょう。
以下のような症状があれば早めに受診しましょう。

  1. 膝を曲げた状態で足を開くと「コクッ」という音がする。
  2. 股関節の開きがなんとなく悪い。
  3. 左右の足の長さがちがう。
  4. 太もものシワの数が左右でちがう。
  5. 脱臼側の臀部(お尻)にくっきりとしたシワがみられる。

先天性股関節脱臼の予防

股関節脱臼の早期発見のために気になるような症状があれば受診する他、おむつ交換、抱っこ、向き癖など日々の赤ちゃんのケアを注意することで股関節脱臼を予防することができます。

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