妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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新生児低血糖症

新生児期の血糖値は生理的に低く、在胎週数、生後日数および出生体重により異なるため新生児低血糖症の詳細な定義はまだ確立されおらずいくつかの考え方があります。

  • 生後72時間以内:低出生体重児で20mg/dl以下、成熟児で30mg/dl以下
  • 生後72時間以後:体重に関係なく40mg/dl以下

下記にあてはまる場合を低血糖症に該当します。
満期産児では生後24時間以内は血糖値が40mg/dl未満、生後24時間以降では血糖値が40~50㎎/dl未満の場合を新生児低血糖症と考えてよいとする文献もあります。

新生児が低血糖を起こしやすい理由

子宮内では臍帯を介してグルコースを常時供給されていましたが、出生と同時に胎盤からの糖の供給が遮断されることになります。
一般に生後数時間から数日は血糖を維持するために十分な量のミルクを飲むことができませんが、満期産児では肝臓、筋肉に多くのグリコーゲンを貯留しているため、すぐに低血糖になることはありません。そして、糖の貯留量が減り始めると糖新生によってアミノ酸からの糖の産生が始まります。
しかし、早産児、子宮内発育遅延を認める場合、グリコーゲンの貯留量が少なく、より早期にグリコーゲンが枯渇し、糖新生が追いつかず低血糖に陥ってしまいます。

核黄疸

新生児において高度の高間接ビリルビン血症の持続により、血管脳肝門を通過したビリルビンが脳に蓄積して生じる病気です。急性期の臨床症状は以下のようなものがあります。

新生児低血糖症の症状

無症状のことも多く、症状も非特異的でなんとなく元気がない、易刺激性、けいれん、無呼吸、徐脈、頻脈、チアノーゼ、低体温、発熱、哺乳不慮、筋緊張低下、意識レベルの低下などがみられます。

血液型不適合による黄疸

早期新生児の低血糖症の危険因子には以下のようなものがあげられます。

  1. 胎児の高インシュリン血症。
  2. 血中ブドウ糖が大量に消費された場合。
  3. 肝グリコーゲン分解(糖新生)が著しく阻害された場合。
  4. 初期嘔吐や完全母乳のためにカロリーが十分に摂取できない場合。

新生児低血糖症の検査・診断

新生児の血糖値の測定は、一般に全血を用いて血中グルコース濃度の測定が行われますが、ヘマトクリット値により影響を受け、血清、血漿を用いた場合に比べ10~15%低い値が得られるとされます。多血症や生後早期の血糖測定で低値の場合は、血清、血漿で再検査が行われます。

新生児低血糖症の治療

無症状の場合にはできるだけ速やかに直接授乳ないしそれに変わる栄養を開始する。経口摂取が困難な場合や授乳を行ったいもかかわらず低血糖が改善しない場合は、グルコースの経口静脈投与を開始します。
症状のある場合や無症状でも血糖値が20~25㎎/dl未満の場合は経静脈投与を開始します。
さらに、低血糖を引きこしている原因についても調べ、原因疾患がわかれば同時に治療が行われます。

新生児低血糖症の予後

早期に適切な治療が行われた場合には予後は良好なのですが、治療が遅れ長時間放置されたり、高度の低血糖が持続したり、繰り返した場合には神経学的後遺症を残すことがあります。

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