妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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新生児高ビリルビン血症

高ビリルビン血症は血清ビリルビン濃度が上昇することをいいます。
胎児は多血症状態にあり、出生後はこの余分な赤血球が急速に溶血するため、大部分の新生児では生後2~3日に肉眼的黄疸が認められ、生後4~5日でピークに達し、生後1週間を過ぎると徐々に肉眼的黄疸は消退します。これは生理的黄疸といいます。
一方、生理的黄疸の範囲を超えてビリルビン濃度が上昇する状態を病的黄疸といい、生後24時間以内に出現する早発黄疸、ビリルビン値が生理的黄疸を超えて高くなる重症黄疸、生後2週間以上にわたり持続する遷延性黄疸の3つに分類されます。

新生児の病的黄疸の原因

新生児の病的黄疸の原因である核横断、血液型不適合があります。
病的黄疸の原因としては以下のようなものがあげられます。

  1. 溶血性疾患: 血液型不適合、赤血球形態異常など。
  2. 血管外の多量の血液貯留: 頭血腫、帽状腱膜下血腫など。
  3. 消化管からのビリルビンの吸収亢進: 消化管の機械的閉塞、蠕動の減少など。
  4. 肝臓におけるビリルビン処理の減少: 肝臓・胆嚢の疾患(先天性胆道閉鎖や拡張症など)における肝臓でのビリルビンの取り込み減少や排泄障害、グルクロン酸抱合の低下など。

核黄疸

新生児において高度の高間接ビリルビン血症の持続により、血管脳肝門を通過したビリルビンが脳に蓄積して生じる病気です。急性期の臨床症状は以下のようなものがあります。

  1. Ⅰ期(生後数日):筋緊張低下、嗜眠、哺乳力減弱をきたします。
  2. Ⅱ期(生後数日~1 週間):筋緊張亢進、後弓反張、発熱、甲高い泣き声、痙攣などを呈します。
  3. Ⅲ期(生後1~2週間以降):筋緊張亢進は減弱ないし消退します。
  4. 慢性期(生後1~1年半):アテトーゼ、上方凝視麻痺、難聴などの核黄疸後遺症が出現します。

治療が遅れると中枢神経症状を示し後遺症を残すこともありますが、近年では、治療技術の進歩により減少傾向にあります。

血液型不適合による黄疸

ABO式血液型不適合およびRh式血液型不適合が代表的です。
血液型不適合妊娠では「胎児血が母体に移行して作られる感作抗体」 または「母体血漿中の自然抗体」が胎児血中に入り、抗原抗体反応を起して胎児・新生児に溶血が起こる可能性があります。
母親がO型で赤ちゃんがA型、B型のときに症状が出やすく、ABO式血液型不適合は全出生の約2%に認められますがABO式血液型不適合溶血性黄疸の発症頻度は3000人に1人です。
母体がRh-(D抗原陰性)で胎児がRh+(D抗原陽性)の場合、母体血液中にD抗体があると胎盤を通じて胎児血中へと移行します。
D抗体は胎児の赤血球のD抗原に結合して溶血するために、胎児水腫や新生児溶血性疾患となります。
第1子出産直後に、母体に抗体ができないようにする治療を行えば、第2子以降の血液型不適合による黄疸を予防することができる。

新生児高ビリルビン血症の診断

一般に新生児の黄疸は経皮ビリルビン濃度測定法を用いてスクリーニング検査が行われ、スクリーニング陽性であれば、採血を行い血清ビリルビン値を測定します。
その結果は以下の基準に照らし合わせる診断されます。

  1. 早発黄疸:生後24時間以内に出現する顕性黄疸(総ビリルビン濃度5~7㎎/dl 以上)
  2. 血清ビリルビン値の急速な上昇(5㎎/dl/日)
  3. 高ビリルビン血症(成熟児15㎎/dl 以上、未熟児12㎎/mg/dl以上)
  4. 直接ビリルビン値上昇(2㎎/mg/dl 以上)
  5. 遷延性黄疸(成熟児生後1週間以上、未熟児生後2週間以上)

新生児高ビリルビン血症の治療

新生児高ビリルビン血症の治療は、光療法、交換輸血および血液型不適合溶血性黄疸に対するγ-グロブリン療法があります。

光線療法

光線療法とは、光化学反応によりビリルビンを生体に排泄する治療法で、分解されたビリルビンが尿からの排出を促進します。最近は副作用の少ない470~620μmの波長のグリーンライトが使用されています。
副作用として有名なものに児の皮膚色がブロンズ色になり、血清・尿が一過性に褐色調を示すブロンズベイビー症候群があります。光源の波長特性による長期の副作用は不明です。

交換輸血

光線療法だけでは血中ビリルビン値が低下しない場合は、交換輸血が行われます。
血中の抗体及び、抗体と結合した赤血球を交換することによって根治的に重症黄疸(新生児溶血性疾患=母児間血液型不適合)を治療します。

新生児高ビリルビン血症の予後

核黄疸が発症した場合の予後は、正期産児の場合には表3の経過をとる脳性麻痺になる。黄疸の程度と知能予後等の検討は多くなされているが、明確な結論は得られていません。

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