妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
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新生児の脳室周囲白質軟化症

脳室周囲白質軟化症(PVL)は、早産児あるいは低出生体重児にとって脳神経系障害の最大の原因といわれ、側脳室周囲白質に局所的な虚血性壊死による多発性軟化病巣ができる疾患で在胎32週以下の早産児に多くみられ、早産児の脳性麻痺のおもな原因となっています。

脳室周囲白質軟化症の発生頻度

極低出生体重児の救命率の向上とともに発生率は増加してます。極低出生体重児の約7~14%に発症すると報告されています。

脳室周囲白質軟化症の病因

未熟な脳では脳室周囲における血液分布が未発達であり、なんらかの原因で低還流になるとその部分は白質が壊死に陥ります。明らかな原因は不明で多くの因子が関与すると考えられています。

脳室周囲白質軟化症の発症因子

出生前因子としては、胎児仮死、多胎、分娩時仮死、絨毛羊膜炎、出生後因子として児の低血圧、低炭素ガス血症、無呼吸、徐脈、動脈管開存症、敗血症などがあげられます。

脳室周囲白質軟化症の症状

受傷時期は無症状ですが徐々に四肢の痙攣性麻痺や弛緩性麻痺の症状を呈します。

脳室周囲白質軟化症の診断

脳室周囲白質軟化症の診断には、頭部エコー検査により、脳室周囲の高輝度病変が持続し、やがて嚢胞形成を認めます。MRIでは脳室周囲の嚢胞形成、側脳室の壁不整を認めます。

脳室周囲白質軟化症の治療

発症後の有効な治療法はありません。そのため脳室周囲白質軟化症(PVL)は発症予防が重要となります。すなわち、適切な妊娠、分娩管理と新生児期の危険因子の回避といった予防が主体となりますが、病因が未開眼なため予防が困難といえます。

脳室周囲白質軟化症の予後

生後数か月は無症状のことが多く、生後6か月以降に下肢優位の痙攣性麻痺が出現してきます。脳室周囲白質軟化症(PVL)の好発部位は、大脳白質から脊髄に下行する運動神経が多く含まれており、とくに脳室に近い部位には、下肢に行く神経線維が通っているため、脳室周囲白質軟化症(PVL)は下肢の痙攣性麻痺が多くみられます。

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