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新生児の脳室内出血

脳室内出血(IVH)は、脳室周囲または脈絡叢の血管破綻によって生じる脳室内の血液貯留であり、新生児とくに低出生体重児における頭蓋内出血のうちもっとも多い病気です。ただし、脳室内出血を認めるのは、ほとんどが極低出生体重児でその多くは超低出生体重児です。

脳室内出血の発生頻度

低出生体重児の35~45%に認められ、極低出生体重児(出生体重が1500g未満で出生)の脳室内出血の発生率は13%、3度以上の重症脳室内出血の発生率は7%という報告があります。
在胎週34週以下の早産児に多く、出生体重が低いほど、また在胎期間が短いほど発症頻度が高く重症となります。
早産児における出血発症時期は、生後24時間以内が50%、日齢2日が25%、日齢3日が15%と生後3日以内が多くみられます。

脳室内出血の症状

脳室内出血が軽度で出血量が少ない場合には無症状のこともありますが、出血量が多かったり、血腫によって脳が圧迫されたりすると全身が蒼白になる、呼吸が止まる、泣き声が甲高い、目つきがおかしい、後ろに反り返る、ひどく機嫌が悪い、ぐったりして手足を動かさない、吐く、母乳やミルクののみが悪い、大泉門の膨隆し、痙攣などの症状が出ます。易刺激性、意識障害、無呼吸発作などの症状がみられます。

脳室内出血の診断

診断には、超音波検査が適しています。
出血の程度によりⅠ度からⅣ度に分類されます。
早産児の脳室内出血の重症度分類はPapileによる分類がよく用いられます。

  1. Grade1 脳室上衣下出血subependymal hemorrhage:SEHのみ
  2. Grade2 脳室拡大のない脳室内出血
  3. Grade3 脳室拡大のある脳室内出血
  4. Grade4 脳実質内出血を伴った脳室内出血

体重が大きければ、頭部CTやMRIも可能です。

脳室内出血の治療

脳室内出血は発症すると有効な治療法はないので、予防が極めて重要です。
早産児が出生して胎外の環境に適応するまでの期間、呼吸は循環をできるだけ安定させ、刺激を与えないことが重要です。
出血してしまった場合には、出血をそれ以上拡大させないことが重要です。出血をできるだけ早期に発見し、発見したら出血の拡大を防ぐために鎮静します。

脳室内出血の予後

分類のⅠ~Ⅱでは比較的予後に問題が生じることはほとんどありません。しかし、Ⅲ度以上の脳室内出血は神経学t系予後が不良なことが多いとされています。

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