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未熟児動脈管開存症

未熟児動脈管開存症(PDA)とは胎生期における肺動脈・大動脈間の交通路である動脈管が生後も閉鎖することなく開存している状態をいいます。
胎児期に開存していた動脈管は出生後には閉鎖します。閉鎖の機序は肺循環確立とともに動脈血酸素分圧が上昇し、動脈管の平滑筋が収縮するためです。
成熟児ではほとんどが生後24~48時間に動脈管は閉鎖するのですが、早産児ではこの機構が未熟で動脈管閉鎖が遅延します。
在胎週数が若いほど閉鎖しにくい、動脈管を介する左右短絡血流による肺血流量増加に未熟な心臓は耐えられずに心不全をきたすことがよくあります。また動脈管を介する左右短絡血流による体血流量減少は未熟な全身臓器で虚血性病変を生じます。

在胎週数が若ければ若いほど、出生体重が少なければ少ないほど発症頻度が高くなります。
在胎27週以下では約40~50%が発症、RDSを合併した例ではさらに発症頻度が高くなり、56%に未熟児PDAが発症したとの報告があります。
ある文献には、在胎23週では67%、24~27週では45%程度、28~29週では20%程度がPADを合併したという報告もあります。

未熟児動脈管開存症の原因

未熟児の動脈管閉鎖遅延が原因で、未熟性がその最大の素因といえます。

未熟児動脈管開存症の症状

未熟児動脈管開存症(PDA)の症状は、頻脈、心雑音、心尖拍動、バウンディングパルス(拡張期圧が正常値より、低くなり、脈が強く触れる現象)などがみられます。
重症では、乏尿、肺出血、低血圧、アシドーシスなど全身状態の悪化がみられます。

未熟児動脈管開存症の診断

未熟児動脈管開存症(PDA)の診断は、臨床所見に加え、胸部レントゲン写真、心エコーが行われます。

未熟児動脈管開存症の治療

未熟児動脈管開存症における動脈管の収縮を促す治療としては、プロスタグランジン合成阻害薬であるインドメタシン静注による薬物学的閉鎖療法が行われ、人工呼吸管理や水分制限、貧血補正、心不全治療として利尿薬、昇圧剤などの内科的治療が行われます。

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