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低酸素性虚血性脳症

低酸素性虚血性脳症(HIE)とは、妊娠中や出産のときに何らかの原因で赤ちゃんの脳に酸素を十分に含んだ血液が回らなくなり、低酸素、虚血によって、脳障害に筋緊張の異常、刺激に対する異常反応、痙攣、意識障害などの神経症状を伴う、さまざまな脳神経障害を起こす異常の総称をいいます。

低酸素性虚血性脳症の発症頻度

低酸素性虚血性脳症(HIE)の発症頻度は、分娩1000例中1~8例とされています。新生児仮死は、成熟児1000に対し2~4の頻度で起こり、生存例の約25%以上に低酸素性虚血性脳症による神経学的後障害(脳神経の後遺症)が認められるといわれています。

低酸素性虚血性脳症(HIE)の原因

低酸素性虚血性脳症(HIE)は、胎児と母体との間でのガス交換がうまくいかなくなり、仮死状態に陥ることが主な病因で出生前や分娩中に発生した胎盤や臍帯のトラブルが主な原因です。

出生前(胎児仮死)の原因

  • 母体の重篤な疾患(ショック、心疾患など)による子宮血流の減少による胎児低酸素症など。
  • 子宮胎盤系機能不全による胎児低酸素症など。
  • 胎児自身の異常:双胎間輸血症候群、心奇形などによる胎児水腫、胎児仮死など。

出生時(新生児仮死、出生時仮死)の原因

  • 胎児仮死に引き続くもの。
  • 前置胎盤、常位胎盤早期剥離など。
  • 子宮破裂、過強陣痛、遷延分娩など。
  • 臍帯脱出、真結節、臍帯巻落など。

出生後の原因

  • 無呼吸発作
  • 出血性ショック
  • 緊張性気胸、胎便吸引症候群などによる呼吸不全

低酸素性虚血性脳症の症状

低酸素性虚血性脳症は、新生児仮死に伴うもので低酸素虚血は、中枢神経系のみでなく全身の臓器におよんでいるため多臓器不全(呼吸不全、循環不全、腎不全、消化器系の異常、肝不全、血液学的異常など)を合併することが多い。障害の程度により変化します。

低酸素性虚血性脳症の診断

低酸素性虚血性脳症(HIE)とは、妊娠中や出産時に何らかの原因で赤ちゃんの脳に酸素を十分に含んだ血液が回らなくなり、低酸素、虚血によってさまざまな脳神経障害を起こす異常の総称をいいます。

低酸素性虚血性脳症の治療

低酸素性虚血性脳症(HIE)の主体は新生児仮死などに伴う呼吸循環不全であり、当然ながら脳だけでなく、心臓、肝臓、腎臓など全身の臓器も障害を受けます。そのため低酸素性虚血性脳症(HIE)の治療の主体は呼吸循環不全に対する全身管理が行われます。

低酸素性虚血性脳症(HIE)の予後

HIE患児の15~20%は新生児期に死亡し、生存した患児の30%は脳性麻痺、精神発達遅延、てんかんなどの神経学的後遺症を残すと報告されています。
ただし各症例で病態は多彩であり様々な臨床経過をたどる。一般に新生児の脳は成人に比べ低酸素虚血に強く、可塑性、障害からの回復能が高いことが知られており、予後は症例毎に異なると考えられます。

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