新生児の下痢
新生児は通常、生後24時間以内に初回の排便がみられます。生後12時間以内に排便がみられる赤ちゃんは約69%、12~24時間25%、24~48時間5.8%で、48時間を越える排便の遅延はごくわずかです。
生後12時間で腸内細菌が出現し、母乳栄養でも人工栄養でも生後1~2日で大腸菌が便中に出現するので、おむつ交換を行った後は手洗いを行う必要があります。
新生児の便の変化
出新生児の便は生後から胎便、移行便、普通便と変化していきます。
胎便
出生後にみられる暗緑色の便で、生後2~3日間のうちに約100g排泄されます。
胎便は、赤ちゃんが子宮の中にいる間に飲み込んだ羊水成分、腸内分泌物、胆汁、頭髪や産毛などからなり、粘り気があり、無菌状態で無臭です。
移行便
生後2~4日ころにかけて胎便と普通便が混合した黄色身をおびたものを移行便といいます。
普通便
便の正常は、母乳栄養の赤ちゃんと人工栄養の赤ちゃんでは異なります。
新生児の便の性状
便の正常は、母乳栄養の赤ちゃんと人工栄養の赤ちゃんでは異なります。
母乳栄養児の便
母乳栄養の赤ちゃんの便は、黄金色で人工栄養の赤ちゃんの便と比べるとゆるく、ビフィズス菌が多く存在するため乳酸発酵により甘酸っぱいにおいがします。
人工栄養児の便
人工栄養の赤ちゃんの便は、クリーム色~黄色で大腸菌が多く存在するため不快現象が進み、弱アルカリ性を呈し、腐敗臭がします。
新生児の下痢
一般的に下痢というと水分を多く含んだ形のない便のことをいいます。下痢になれば排便回数が増加しますが、特に何回以上すると下痢という定義はありません。
1回でも下痢は下痢で、その程度と原因は様々です。
新生児期の便は、一見下痢っぽく見えるため、お母さん方が心配なさるのですが、きれいな黄色い色で、甘酸っぱいにおいのする便なら正常です。
新生児の下痢は、水様で便の回りを水が輪状に取り囲むもので、1日10~20回にも及ぶことがあり、排便時には激しく便を噴射することがあります。
下痢は、飲み過ぎで起こることもありますが、人工栄養の赤ちゃんのなかには、アレルギー反応で下痢になる場合もあります。
新生児は、水と電解質の調節がうまくできないため、脱水や電解質の異常をきたしやすいことがあり注意が必要です。
新生児の下痢を伴う疾患
下痢の原因としてウイルス性下痢や細菌性下痢、アレルギー、薬剤性、食中毒などがあげられます。
ウイルス性の下痢
- 夏風邪ウイルス:エンテロウイルス族のコクサッキーウイルスA エコーウイルスなど。
- 晩秋から冬季:ノロウイルス ロタウイルスなど。
- 通年性:アデノウイルスなど。
細菌性の下痢
ウイルス性の下痢の後に続いて乳糖不耐症を起こすことがよくあります。これは、腸粘膜についている乳糖分解酵素が洗い流されてしまい、ミルクや乳製品を分解することができなくなり下痢が起こります。
生まれながら乳糖分解酵素がない先天性乳糖不耐症と、急性の下痢症などが原因で小腸粘膜の酵素のはたらきが弱まって下痢になる二次性(後天性)乳糖不耐症とがあります。先天性乳糖不耐症は遺伝病の一種でまれなものです。
乳児で発熱・嘔吐・腹痛はみられず下痢だけが1週間以上続く場合は、乳糖不耐症などが考えられます。
薬剤の影響による下痢
抗生物質の内服中に下痢が出現することがあります。腹痛・嘔吐を伴うことは少なく、機嫌も良いことが多いです。