新生児の高体温
新生児は体温調節可能域が狭いため、環境温度の影響を受けやすく、低体温や発熱をきたしやすいという特徴があります。
新生児の場合は、自律神経の働きが未熟で放熱・発汗といった 体温調節機能はまだ不完全で外気温などによって高体温に陥ることがあります。
新生児の高体温に伴い、顔面紅潮、多汗、多呼吸、頻脈などの症状がみられます。
新生児の高体温とは
新生児の高体温の定義は、深部温(肛門での体温)で直腸温で37.5℃以上、皮膚温(脇の下での体温)で37.0℃以上です。
正常新生児であっても衣類の着せ過ぎや掛け物の掛け過ぎ、夏の時期などの高温環境、直射日光や温室効果での高環境温、暖房機器からの距離などにより体温が高くなることがります。
当然、感染症に罹ったり、脱水、飢餓熱などにより高体温となります。
頭蓋内出血、甲状腺機能亢進症、薬剤の副作用、光線療法中なども高体温となります。
緊急を要する高体温の判断のポイント
問題のない発熱は、室温、安静度、着衣などの環境の調節で改善し、全身状態も改善します。環境の調節をおこなっても、皮膚の色が悪い、呼吸状態や循環状態が改善しない、痙攣がみられるなどの症状がある場合は緊急を要することが多く、意識状態不良、痙攣、尿量の減少、頻脈、不整脈などがみられる場合は重症化のおそれがあります。
高体温で想定される疾患
高体温で想定される疾患としては以下のようなものがあげられます。
- 敗血症
- 髄膜炎
- 頭蓋内出血
- 低酸素性虚血性脳症
- 脱水
- 甲状腺機能亢進症
赤ちゃんは暑さによる影響が大きい
赤ちゃんは、寒い時には泣くことによって危険信号を発し、自力で熱を産生し恒温状態を維持しようと努力します。しかし、暑い時の放熱効果は外界の環境因子(温度・湿度・風など)や大人の育児法に影響されます。つまり、熱産生は赤ちゃん自身が“能動的”に行っているのに対し、熱放散は他人まかせ、“受動的”となってしまうことが多いといえす。
暖房を入れた室内は、暖かな空気が部屋の上部にたまり、特に断熱気密性の悪い住宅では天井と床付近の温度差がときには10℃以上にもなることがあります。
この上下温度差が大きい室内環境では赤ちゃんに適した衣服を選択する事が難しいといえます。
このような状況の中では、着せ過ぎたり布団をかけ過ぎたりすることで赤ちゃんが高体温になってしまうことがあります。