新生児の呼吸障害
新生児の呼吸器系は気道が細く、鼻呼吸、腹式呼吸、肺サーファクタント産生能の未熟性などがあげられます。
新生児の呼吸の特徴
正常な新生児の呼吸数は1分間に30~60回程度、腹式呼吸で、呼吸はおもに鼻からおこなわれています。
新生児は呼吸中枢が未熟なために出生後しばらくは正常な新生児でも呼吸リズムは不規則で、短い無呼吸がみられることがあります。5~10秒の無呼吸は、正常時にもみられることがあります。
新生児の呼吸の観察
呼吸の観察は、安静時に胸腹部の動きによって1分間計ります。呼吸数とともに無呼吸があればその時間を計っておきましょう。
また、新生児の呼吸を観察する場合には呼吸数だけではなく、胸とお腹が同時に上下しているかどうか、呼吸の際にうなるような声やゼイゼイなど音が聞かれないか観察しましょう。呼吸状態が良ければ、赤ちゃんはきれいなピンク色をしています。
新生児の呼吸障害
新生児の呼吸障害は、多呼吸、陥没呼吸、鼻翼呼吸、呻吟、シーソー呼吸など努力呼吸の増悪などがみられる場合は注意が必要で呼吸障害に加えてチアノーゼがある場合は、緊急を要することが多く、早急に医師の診察を受ける必要があります。
新生児の鼻呼吸
吸気に一致して鼻が膨らむ呼吸を示すものを鼻翼呼吸といい努力呼吸の程度を示すと考えられます。
新生児の多呼吸
新生児期において、1分間に60回以上の呼吸数がある状態を多呼吸といいます。
何らかの原因で1回の呼吸でガス交換が不十分で呼吸数を増やし補っていると考えられます。ただし、新生児の呼吸は刺激や変化の影響を受けやすいので注意が必要です。
新生児の陥没呼吸
陥没呼吸とは、吸気時に肋骨の下、胸の中央の胸骨の上などに陥没を伴う呼吸をいいます。ただし、正常な新生児においても軽度の肋骨下や肋骨間の陥没を伴う呼吸をみることがあります。
新生児の呻吟(しんぎん)
呼気時に「うめき」または「うなり」声を伴う呼吸をいいます。呻吟は、呼気に際して声門が閉じて吸気を肺内にできるだけ長く保とうとする生体防御機構で、その結果狭い声帯間を空気が高速で抜けるため、「うなる」ような音として呼気時に聞かれます。
出生直後に一過性の呻吟が聞かれることがあります。
新生児のシーソー呼吸
正常な呼吸は、胸とお腹が同時に上下するのですが、肺の容量の減少などがある場合には胸が上がるときにはお腹が下がるような呼吸運動となります。このように胸とお腹が逆に動く呼吸をシーソー呼吸といいます。
呼吸障害がある場合に行われる検査
呼吸障害がある場合に行われる検査としては以下のようなものがあげられます。
- 胸部レントゲン…肺障害の程度、呑気、気胸、肺血流等の程度や増加の有無
- 心臓超音波検査…先天性心疾患の鑑別
- 頭部超音波検査…頭蓋内出血の鑑別
- 血液検査…細菌感染症、代謝性疾患の鑑別
呼吸障害をきたす主な疾患
新生児の呼吸障害は進行が早く重症化することが多く注意が必要です。
呼吸障害がみられる疾患としては、呼吸窮迫症候群(RDS)、新生児一過性過呼吸(TTNB)、胎便吸引症候群(MAS)、気胸(エアリーク)、肺炎、縦隔気腫、先天性心疾患、先天性横隔膜ヘルニアなどがあります。