児頭骨盤不均衡(CPD)
児頭骨盤不均衡(CPD)とは、児頭と骨盤の大きさに不均衡が存在するため児頭の産道通過が困難となり、分娩が停止するか母児に障害をきたすか、あるいは障害をきたすことが予想されるものをいいます。
児頭骨盤不均衡(CPD)の発生頻度
児頭骨盤不均衡の発生頻度は、全分娩の約4~6%で骨盤入口部の児頭骨盤不均衡が最も多く、峡部、出口部がこれに次いで多い。
児頭骨盤不均衡(CPD)の原因
児頭骨盤不均衡(CPD)の原因としては以下のようなことがあげられます。
- 児頭は正常であって骨盤が小さい…狭骨盤など。
- 骨盤は正常であって児頭が大きい…巨大児など
児頭骨盤不均衡(CPD)が疑われる対象
児頭骨盤不均衡(CPD)が疑われる対象としては以下のようなことがあげられます。
- 初産婦でも妊娠36週以降先進児頭の固定がみられず浮動を示す場合。
- 尖腹、懸垂腹の場合。
- 身長150㎝以下、とくに145㎝以下の場合。
- 子宮底長36㎝以上、とくに38㎝以上で巨大児が疑われる場合。
- 骨盤外計測値が正常値より1㎝以上短縮している場合。
- 脊柱、骨盤、下肢などの骨または関節の疾患、外傷による高度の骨盤変形、運動障害の後遺症などがある場合。
- 既往分娩において帝王切開、鉗子分娩、困難な吸引分娩、遷延分娩、周産期死亡などがあった場合。
- 分娩開始後長時間経っても児頭の下降徴候がみられない場合。
- 内診によって骨盤腔の狭小、変形あるいはCPDが疑われる場合。
- 高年初産婦、長期不妊の既往がある場合。
児頭骨盤不均衡(CPD)の診断
児頭骨盤不均衡(CPD)の診断には、機能的診断法、骨盤外計測法、X線計測法、超音波診断法などがあります。
機能的診断法
助産師や医師が腹部の触診法をおこない、ついで内診がおこなわれます。
骨盤外計測法
骨盤外計測法は、骨盤計測器を用いて母体の骨盤の横径、前後径などを計測する方法です。最近はあまり行われなくなりましたが胎児や母体への侵襲が全くない大きなメリットがあります。
X線計測法
レントゲンによる骨盤計測法で、マルチウス法やグースマン法があります。胎児への被爆を考慮し必要最小限の被爆ですむように行われます。
超音波診断法
超音波断層検査では児頭の大横径の測定を行い、骨盤最短前後径や骨盤峡部横径との比較に用いられます。
児頭骨盤不均衡(CPD)の治療
分娩前に児頭骨盤不均衡が明らかな場合は帝王切開が行われます。
分娩前に確定診断ができない場合は、試験分娩が行われます。
試験分娩の結果、分娩遷延・分娩停止や胎児機能不全などがあれば帝王切開が行われます。
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