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抗リン脂質抗体症候群(APS)

抗リン脂質抗体症候群(APS)とは、抗リン脂質抗体(aPL)を有し、動静脈血栓症、血小板減少症、習慣流産といった臨床症状を呈する症候群をいいます。
抗リン脂質抗体症候群は、全身性エリテマトーデス(SLE)を始めとする膠原病や自己免疫疾患に合併して起こるものを続発性抗リン脂質抗体症候群(二次性抗リン脂質抗体症候群)と、他の膠原病を合併しない原発性抗リン脂質抗体症候群があります。
反復性血栓症と不育症を特徴とする自己免疫性血栓性疾患である抗リン脂質抗体症候群の中に微小血栓により短期間に多臓器不全をきたす予後不良の一群があり近年注目されている.このような疾患群を劇症型抗リン脂質抗体症候群といい原因は末だ不明です。

抗リン脂質抗体症候群(APS)の症状

抗リン脂質抗体症候群は様々な部位の動脈血栓症や静脈血栓症、習慣流産などの妊娠合併症がおこります。動脈血栓症としては、脳梗塞や 一過性脳虚血発作 が多くみられます。閉塞する脳血管の部位により様々な症状をきたします。

抗リン脂質抗体症候群の臨床基準

(札幌基準のシドニー改変―2006

抗リン脂質抗体症候群の臨床所見

1.血栓症(画像診断、ドップラー検査または病理学的に確認されたもので血管炎による閉塞を除く。)
2.妊娠合併症
a.妊娠10週以降で、他に原因のない正常形態胎児の死亡、または
b.妊娠高血圧症、子癇または胎盤機能不全による妊娠 34週以前の形態学的異常のない胎児の1回以上の早産,または
c.形態学的、内分泌学的および染色体異常のない習慣流産

抗リン脂質抗体症候群の検査基準

1.標準化されたELISA法によるIgGまたはIgM型抗カルジオリピン抗体(中等度以上の力価または健常人の99%-tile以上)
2.IgGまたはIgM型抗b2-グリコプロテインI抗体陽性(健常人の 99%-tile以上)
3.国際血栓止血学会のループスアンチコアグラントガイドラインに沿った測定法で,ループスアンチコアグラントが陽性
※臨床所見の1項目以上が存在し,かつ検査項目のうち1項目以上が12週の間隔をあけて2回以上証明されるとき抗リン脂質
抗体症候群と分類する。

抗リン脂質抗体症候群の治療

抗リン脂質抗体症候群の診断基準をもとに、臨床基準を1つ以上、かつ検査基準を1つ以上満たした場合、抗リン脂質抗体症候群と診断され、治療がおこなわれます。
抗リン脂質抗体症候群の治療には、ヘパリン・低用量アスピリン療法があり、生児獲得率は70-80%と報告されています。

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