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甲状腺機能異常

甲状腺機能異常には機能低下症と機能亢進症があり、ともに流産に関連していると考えられています。女性の2割から3割くらいの方に機能異常があると言われ、女性が男性の約4倍も発症率が高いといわれています。

甲状腺とは

甲状腺は喉のところにある蝶の羽を広げたような形をした器官で約16gほどしかありません。
甲状腺からは、主にT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)の2種類の甲状腺ホルモンが分泌されます。

甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンには、T3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)があります。
甲状腺ホルモンは、脳にある下垂体という臓器から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。甲状腺ホルモンが不足してくるとTSHが増加して甲状腺を刺激します。逆に、甲状腺ホルモンが何らかの理由で増えすぎるとTSHの分泌は抑えられます。
甲状腺ホルモンは、 新陳代謝を促進する、 体や脳の発育・発達を促進する、 内臓の働きを調整するなどのはたらきがあります。

甲状腺ホルモンと不育症

甲状腺ホルモンは卵胞の成長にも必要なホルモンで、十分な甲状腺ホルモンがないと卵胞は成長せず排卵が起こりません。甲状腺ホルモンは脳にある視床下部で甲状腺ホルモンの濃度を感じとって調整しています。甲状腺ホルモンは脳の下垂体というところから出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)で調整されていて、そのTSHの濃度を調整しているのが視床下部から出るTRHというホルモンです。
この時増えるTRHというホルモンがプロラクチンを増やします。このプロラクチンもまた卵胞の成長を妨げたり黄体の機能を低下させます。
以上のような機序で卵巣の機能が低下し、生理が乱れたり、不妊症・不育症の原因になったりします。

甲状腺機能亢進症と不育症

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺におけるホルモンの産生および分泌が亢進しているため、血液中の甲状腺ホルモンが上昇している状態を指します。
甲状腺機能亢進症にははバセドウ病のほかにも無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などがあります。バセドウ病は血液中に抗TSHレセプター抗体(TRAb)ができるために起こります。TSHレセプターに対する抗体が、甲状腺を刺激し甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで機能亢進症が起こります。TRAbができる原因は、明確にされていませんが、家族内発生が多いため、遺伝子が関係しています。
診断を確定するには血液検査を行います。
治療は、内服治療、手術療法、アイソトープ治療などが一般的です。
妊娠初期に絨毛性ゴナドトロピンが甲状腺を刺激し、軽度の甲状腺機能亢進症になることがあります。 これは妊娠中期には正常化する一時的な異常で治療の必要がありません。

甲状腺機能低下症と不育症

甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの産生が不十分な疾患です。
甲状腺機能低下症にはさまざまな原因がありますが、最も多く見られるのが、橋本病、甲状腺の手術をした後であったり、クレチン病、甲状腺の放射線治療を行った後におこります。
甲状腺機能が低下してくると全身の代謝が低下するため、体の全ての機能が低下します。
甲状腺ホルモンは卵胞の成長に影響しているので甲状腺ホルモンが足りなくなると卵胞が成長せずに排卵が起きづらくなります。仮に排卵が起きたとしても卵胞の成長が不十分だと妊娠を維持させるのに必要な黄体の機能が低下することがあります。
また甲状腺から甲状腺ホルモンの分泌が低下すると甲状腺を出せという命令がたくさん出て甲状腺を刺激します。この時増えるTRHというホルモンがプロラクチンを増やします。このプロラクチンもまた卵胞の成長を妨げたり黄体の機能を低下させます。
以上のような機序で卵巣の機能が低下し、月経が乱れたり、不妊症・不育症の原因になったりします。
診断は、採血して甲状腺ホルモン(遊離チロキシン:FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定します。
甲状腺機能低下症の治療は甲状腺ホルモンの投与がおこなわれます。

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