妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
スポンサーリンク

卵巣刺激法

卵巣刺激法とは、内分泌・排卵因子により排卵がない場合に排卵誘発を行うことはもちろん、通常の排卵がある場合においても複数の卵子を回収を目指して卵巣刺激が行われます。
卵巣刺激には、クロミフェンやゴナドトロピン製剤(hMG製剤・FSH製剤・hCG製剤)が用いられます。
最近では、クロミフェンとゴナドトロピン製剤を組み合わせた方法やGnRH製剤を併用する方法も用いらます。
また、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防のため、自然排卵周期で1個の成熟卵胞を得てART(生殖補助医療)に用いる方法があります。

卵巣刺激法の種類

卵巣刺激法にはロング法、ショート法、GnRHアンタゴニスト法、クロミフェン低卵巣刺激法などが一般的におこなわれています。

ロング法とは

ロング法とは、卵子をたくさんつくることを目的とし、GnRHアゴニストの使用が長期間にわたることから「ロング法」をいわれます。
ロング法は、採卵周期の前周期21日目(高温相の中頃)ごろからGnRHアゴニストの使用を開始し、自然に排卵が起きるのを抑制します。
GnRHアゴニスト投与後、約1週間で月経が開始すると月経開始数日後からhMG製剤(FSH作用をもつ)の注射をおこない卵巣の刺激し、卵胞の成熟を促します。定期的に卵胞のチェックがおこなわれ、卵胞がある程度成熟した時点で採卵日を決定し、さらに採卵35~36時間前にhCG製剤(LH作用をもつ)を注射をおこない最終的な卵胞の成熟を促したうえで採卵を行います。
投与される薬剤量が増えるのでOHSSなどの危険性が高まり、からだへの負担も大きく2~3周期は卵巣を休ませる必要があります。

ショート法とは

ショート法とは、ロング法と同じく卵子をたくさんつくることを目的とし、ロング法との違いは、GnRHアゴニスト開始時期で、ロング法で採卵数が望めない場合、高齢の場合、卵巣機能が落ちている場合などに主に使用される誘発法です。
ショート法は、月経周期1日目からGnRHアゴニストをスタートし、hMG製剤などで卵胞を育て、採卵も同周期に行ないます。発育卵胞数が多く、多くの採卵が期待できるため、余剰胚を凍結しておくことができます。

GnRHアンタゴニスト法

GnRHアンタゴニスト法とは、比較的あたらしい治療法で、GnRHアゴニストの代わりにGnRHアンタゴニストを用いる治療法です。
GnRHアンタゴニストは、GnRHアゴニストのように長い期間投与する必要がなく、下垂体の回復が早い、HMGの投与量が少なくOHSSの発症が少ないなどのメリットがあります。
GnRHアンタゴニスト法は体外受精の周期の月経開始から3日目ごろからhMGの注射をスタートし、卵胞がある程度成長したところでGnRHアンタゴニストの注射を開始し、採卵36時間前にhGCを注射し、採卵に向かいます。
GnRHアンタゴニストは効き目が約30時間と長く、採卵前に3回(1日1回3日間)を目安に注射することで高い排卵抑制効果を発揮します。
ロング法に比べ、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生リスクが低い点も大きなメリットです。

クロミフェン低卵巣刺激法

クロミフェン低卵巣刺激法とは、低刺激法、クロミフェン法、マイルド法などとも呼ばれます。月経3日目から5日程度クロミフェンを服用し、卵胞を発育させます。途中で注射薬を併用する場合もあります。
低刺激法では、平均採卵個数が3個くらいとなります。その結果、1回で妊娠できる可能性は一般的方法と比較すると低くなります。
メリットは、通院の回数が少ないことや排卵誘発にかかる費用が少なくてすむこと、卵巣に対する負担が小さいため、あまり治療を休む必要がないなどがあります。
クロミフェン低卵巣刺激法の対象は、35歳以下で卵巣機能がよい方、多嚢胞性卵巣症候群の方など卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい方、逆に多く注射をしても卵胞があまり育たない方などは低刺激法を選択します。
使用薬剤は、クロミフェン(クロミッド・セロフェン)やレトロゾール(フェマーラ)などがあり、その後少量の注射を追加する場合、クロミフェンを採卵日近くまで内服継続する場合や、アンタゴニストを併用する場合などがあります。

スポンサーリンク