抗精子抗体検査

男性の精子は女性の体にとってはある意味異物だといえます。しかし、普通は精子に対して抗体を作ることはなく受け入れています。
しかし、女性の中には男性の精子に対する抗体をもっている方がいます。
精子に対する抗体があると、妊娠のために精子が膣内、頚管粘液に入ってきても抗体に攻撃されて動けなくなり、受精のために子宮に入ることできません。
すなわち、抗精子抗体とは精子に対する抗体のことで、女性に精子に対する抗体が作られてしまうと不妊の原因になり、精子抗体は男女とも不妊症患者の約3％をしめるといわれています。
抗精子抗体には、抗精子不動化抗体と抗精子凝集抗体があります。

抗精子抗体検査の適応

精子不動化抗体は、フーナーテストの結果が何度も不良な場合は、精子不動化テスト（SIT）がおこなわれます。

抗精子不動化抗体試験

抗精子不動化抗体とは、精子の尾部が運動が停止してしまう抗体で、精子には自力での受精能力がないため妊娠することができません。
抗精子不動化抗体は、血液だけでなく頚管粘液、卵胞液などにも存在します。
抗精子不動化抗体試験の検査方法は、精子不動化試験（SIT）を行い、陽性であった場合に精子不動化値（SIV）を測定し、SIVが2未満を陰性と判定、陰性の場合には精子不動抗体はないと判断できます。
SIVが2以上は陽性と判定されても、それだけでは精子不動抗体があると判断されるものではなく、定量的SITによりSI50値値を測定し、治療方針が決定されます。
※SI50値：血中50%値、50％精子不動化値

抗精子凝集抗体試験

抗精子凝集抗体とは精子同士をくっつけてしまう抗体のことで、精子の頭部と頭部、頭部と尾部、尾部と尾部がくっつけしまう抗体があり、大きな精子の凝集塊を作ってしまうため、子宮内への進入が妨げられてしまい妊娠することができません。
抗精子凝集抗体試験とは、採血した血液（血清）に精子を加えて精子凝集の有無を判定する方法です。
抗精子凝集抗体は、抗体による凝集と非特異的凝集の鑑別が困難であるため精子不動化試験が行われます。