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腹腔鏡検査

腹腔鏡検査は、内視鏡を腹腔に入れて子宮や卵巣周囲の状態を詳細に観察でき、卵管、卵巣および子宮周囲における不妊原因となる器質的異常の精査において精度の高い検査方法です。さらに、腹腔鏡で発見した異常に対して引き続き同時に治療を行うことが可能で、不妊の検査と治療として有用だといえます。
子宮卵管造影で異常が認められた場合や子宮筋腫、子宮内膜症が疑われる場合、原因不明で治療しても妊娠しない場合などが適応となります。

腹腔鏡検査の適応

腹腔鏡検査は、腹腔内から卵管などの臓器を直接観察できるので、卵管因子の精査として有用な検査です。
腹腔鏡検査の適応は、

  • 子宮卵管造影で卵管の閉塞などの異常が認められる場合
  • クラミジア感染の既往がある場合
  • 子宮内膜症が疑われる場合
  • 黄体化非破裂卵胞(LUF)が認められる場合
  • 多嚢胞性卵巣(PCO)
  • 早発閉経の場合
  • その他スクリーニングを終えても原因がはっきりしない場合

腹腔鏡検査のメリットと のデメリット

腹腔鏡検査のメリット

  • 内視鏡を挿入する2~3か所の小さな切開ですみ傷が小さくてすむ。
  • 全身麻酔での検査ですが入院期間が1泊2日程度と短い。
  • 全身麻酔でおこなうため痛みもなく、検査後の痛みも少ない。
  • 開腹でおこなう検査ではないため癒着しにくい。
  • 保健適応の検査である。
  • 早発閉経の場合。
  • 内視鏡で直接観察できるため細かいところまで観察できる。
  • 初期の病巣や異常があれば同時に治療や処置ができるケースがある。
  • 体への負担や影響が少ないため日常生活への影響が少ない。

腹腔鏡検査のデメリット

  • 予期できない出血や癒着で開腹手術に移行したり輸血しなければならないことがある。
  • 全身麻酔が必要である。
  • 入院検査である。
  • 難しい手技であるため医師の技量に差がある。
  • 多嚢胞性卵巣(PCO)
  • 早発閉経の場合。
  • その他スクリーニングを終えても原因がはっきりしない場合。

※日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医:技術認定制度委員会が産婦人科領域における内視鏡手術に携わる医師の技術と知識を評価し、内視鏡手術を安全かつ円滑に施行する十分な技量があると認定したものです。

腹腔鏡検査の方法

腹腔鏡検査とは、おなかに5~10㎜程度の小さな穴をあけて、内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察する検査です。
一般的には臍から下に親指くらいの大きさの切開を2~3か所、内視鏡用の穴と鉗子などの機器を挿入する穴を切開します。
炭酸ガスを入れて膨らませる「気腹法」とワイヤーでおなかの皮膚をテントのようにつり上げる「つり上げ法」の2種類があり、医療機関によって異なります。
二酸化炭素を送り込んだり、ワイヤーでおなかを吊り上げ腹部を膨らませ腹腔内にスペースを確保してから内視鏡と鉗子などの機器を挿入し、お腹の中を観察します。
この際、異常が認められ腹腔鏡下に処置ができる場合には、腹腔鏡下手術(癒着剥離術、子宮内膜症病変焼灼術など)に移行します。

腹腔鏡検査時に行う処置や治療

腹腔鏡検査は、異常が認められ腹腔鏡下で以下のような処置や治療に移行することが可能です。

卵管通色素法

卵管通色素法とは、インジゴカルミンという色素を用いた卵管通過性の試験で、腹腔鏡と同時に子宮頸管に色素を流し込む卵管通色素法検査により、卵管の通りを肉眼で確認でき、卵管形成術を行う場合の目印にすることが出来ます

卵管周囲癒着の治療

腹腔鏡検査において、卵管周囲の癒着が見つかった場合には、同時に癒着剥離術をおこなうことがで卵のピックアップ障害も瞬時に改善できます。

腹腔内の洗浄

腹腔内を大量の生理食塩水で洗浄することで腹腔内の環境が改善され、検査後の妊娠率の向上が期待できるといわれています。

初期の子宮内膜炎の治療

超音波検査で発見でいない程度の初期の子宮内膜症が腹腔鏡では見つかることがあり、初期であるためその場で除去し、内膜症の進行を防止することができます。
また、チョコレートのう腫などがあれば、同時に摘出することができます。
不妊症検査で腹鏡検査を行うと約3割程度も内膜症が発見できるという報告があります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)排卵障害の改善

腹腔鏡という内視鏡を用い、両側の卵巣の表面にレーザー光線をあて小さな孔をあけるOvarian Drilling法により、その後、高率に排卵が得られます。

卵管留症

卵管采が炎症やその他の原因によって完全に閉塞し卵管留症を形成している場合には腹腔鏡下卵管開口術をおこなうことができます。

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