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頚管粘液検査

頚管粘液は、頚管内膜上皮細胞から分泌され、月経周期に伴い分泌量、性状が周期的に変化します。
不妊症の原因のうち、頚管因子は数%存在すると考えられています。
子宮頚管より分泌される頚管粘液は、子宮内腔、卵管へと進む精子の通路となるだけでなく、精子の取り込み、貯蔵、選択、活性化といった生殖生理において重要な役割をになっています。
頚管因子が原因の不妊症では頚管粘液の分泌、性状に異常がある場合と頚管粘液と精子の適合性に問題がある場合があります。頚管粘液検査は前者の性状の異常がある場合におこなう検査です。

頚管粘液検査の方法

頚管粘液検査は、頸管粘液の分泌量が増える排卵日の前日におこなわれます。
膣内にクスコ膣鏡を挿入し、ツベルクリン用注射器を用いて子宮口付近の頚管粘液を吸引します。

頚管粘液検査の実施時期

頚管粘液検査の実施時期は、頚管粘液は基礎体温の低温最終日より1日前がピークで排卵の2~3日前に相当する時期に実施されます。

頚管粘液検査の内容

頚管粘液検査では、 粘液の量、透明度、pH(酸性度合いを示す値)や粘度(粘液が糸を引く度合い)を調べます。
また、粘液の一部をガラス板の上で自然乾燥して結晶化させ、結晶の形や出来具合を顕微鏡で調べます。

頚管粘液量

頚管粘液は、排卵日の2~3日前より0.1ml以上吸引可能となります。
排卵直前には0.3ml以上吸引できるようになります。
排卵後は減少し、月経期にはほとんど分泌されないため吸引されなくなります。

頚管粘液の結晶形成

頚管粘液を吸引後にスライドガラスに塗り、乾燥後、低倍率の顕微鏡で観察すると樹枝状の結晶を形成します。
排卵期の結晶は植物のシダの葉っぱに似た構造を示すシダ状結晶とよばれる状態を観察することができます。典型的な結晶形成は排卵日を中心にみられます。

頚管粘液の索糸性

頚管粘液を吸引後にスライドガラス上でピンセットや注射器の先でのばすと排卵期に近づくについれて糸をひきやすくなります。この糸のひきやすさを索糸性といい排卵時には9~10㎝以上となります。
頚管粘液は、排卵期に精子を受け入れ、排卵期以外には精子の進入を防ぐはたらきがあり、排卵期に頚管粘液の分泌不全があると静止は子宮内に侵入できなくなり不妊の原因となります。

排卵期のおける頚管粘液の判定

排卵期には増加するエストロゲンにより頚管粘液には以下のような変化がみられます。

  • 頚管粘液量の増加:0.3ml以上
  • 頚管粘液の粘稠度の低下
  • 索糸性(頚管粘液が卵白のように粘液が糸をひく様子)の増加:9㎝以上
  • シダ状結晶形成

頚管粘液の分泌不全の原因

頚管粘液は、排卵期に精子を受け入れ、排卵期以外には精子の進入を防ぐはたらきがあり、排卵期に頚管粘液の分泌不全があると静止は子宮内に侵入できなくなり不妊の原因となります。
頚管粘液の分泌不全の原因には以下のようなものがあります。

  1. 不適切なタイミング
  2. 頚管粘液の異常:薬剤性(抗エストロゲン剤など)内分泌異常や月経異常をきたす疾患(早発閉経、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)など)。
  3. 器質的原因:頚管狭窄、円錐切除後(頚管腺の減少)、腫瘍、子宮頚管ポリープ、子宮膣部びらん、頚管炎などの炎症など。
  4. 突発性:突発的な頚管粘液細胞の機能不全や排卵誘発剤のクロミッドの長期服用によって頸管粘液の分泌量が低下することがありますので注意が必要です。

頚管粘液検査に問題があった場合

頚管粘液の分泌異常は精子の進入を障害するため不妊の原因となり、頚管粘液に異常があった場合には妊娠率は54%から37%に低下するという報告があります。
卵胞ホルモン分泌障害が原因の場合は、ホルモン剤の投与を行い、卵胞ホルモンの分泌を促す治療法をとります。
クラミジアなどの感染症による子宮頸管炎の場合は抗生物質によって炎症を抑える治療法を行います。
治療によって頚管粘液不全が改善しない場合は、人工授精が必要になります。
また、頸管粘液や精子の状態に問題がないのになかなか妊娠しない場合など、フーナーテストがおこなわれます。

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