妊娠・出産・新生児*Dear Mom*
スポンサーリンク

性器クラミジア検査

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスによって発症する性感染症(STD)としての水平感染と上行感染による卵管炎から骨盤内炎症性疾患(PID)を発症するのが特徴です。
卵管炎の後遺症として卵管狭窄や閉塞、卵子のピックアップ障害と関連が深い卵管周囲癒着などの器質的障害をきたし、卵管性不妊症や卵管妊娠の原因となります。さらに感染が上腹部へ波及すると肝周囲炎を発症します。
しかし、女性では性器クラミジア感染症に罹っても一般に症状に乏しく、90%以上は無症状で感染に気付かないことが多いとされます。
妊娠後は、産道における母子垂直感染にかかわり、産道感染により新生児結膜炎や新生児肺炎の原因となります。
このようにクラミジア感染症は、無症状である場合が多く、卵管障害や卵管性不妊症が判明してはじめて診断されるケースもあります。
不妊症患者の2~3割でクラミジア検査陽性であるとの報告があります。

性器クラミジア感染症の検査法

性器クラミジア感染症の検査方法には、クラミジア抗原検査とクラミジア抗体検査が用いられています。抗原検査は現行感染の診断あるいは治療判定に用いられ、抗体検査は性器クラミジア感染症の既往感染の診断に適しています。

クラミジア抗原検査(Ct抗原検査)

クラミジア抗原検査(Ct抗原検査)性器クラミジア感染症の検査方法には、子宮頚管の分泌物、または擦過検体からクラミジアを検出する検査方法で、分離同定法、核酸検出法、核酸増幅法(TMA法・ PCR法・SDA法)、酵素抗体法(EIA法)があります。

血清クラミジア抗体価検査

血清クラミジア抗体価検査は、血液中のクラミジア抗体(IgA、IgG)を検出する検査で、IgAとIgGの検査結果によって現在感染しているか過去の感染かを判断することができます。
血清抗体価は初感染時にまずIgM抗体が1週間以内に上昇します。
治療・無治療にかかわらず速やかに消失します(2ヵ月以内に陰性化)。再感染では上昇しません。
IgG抗体は約1か月後から上昇し、数年間持続します(約4年で陰性化)。
IgA抗体はIgG抗体に遅れて5~6週間で上昇し、数年間持続します(約3年で陰性化)。
一般的に感染症においては抗原検査についで、IgM抗体が活動性感染の指標となりますが、性器クラミジア感染症においてはIgM抗体上昇が十分ではないため、IgGとIgA抗体が測定されています。
血清クラミジア抗体価検査は、卵管あるいは腹腔内に進行した感染があっても子宮頚管からクラミジア抗原陽性を確認できない偽陰性症例などの場合に意義が深い検査です。
クラミジア抗原検査(Ct抗原検査)

性器クラミジア感染症の検査の評価

卵管あるいは腹腔内に進行した感染があっても、子宮頚管からクラミジア抗原陽性が確認できない場合は、血清クラミジア抗体価が意義をなします。
性器クラミジア感染症に関して無症状の不妊カップルへの初期スクリーニングとしての性器クラミジア検査は抗クラミジア抗体の有無で感染の既往を評価できます。約30%の不妊女性で血清クラミジア抗体のIgGあるいはIgAのいずれかが陽性であったという調査報告があります。
一般的に抗原検査が陰性であっても、IgA、IgGがともに陽性で臨床的に性器クラミジア感染が疑われる場合に対しては、卵管または腹腔内の軽症感染を想定して治療が行われることもあります。一方でIgAが陽性でIgGが陰性の場合は活動性の感染が疑われ、逆にIgAが陰性でIgGが陽性の場合には既往感染が疑われ、現時点での活動性の感染の可能性は低いと推測されます。

スポンサーリンク