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子宮卵管造影(HSG)

子宮卵管造影(HSG)は、子宮口から油性または水性造影剤を子宮腔に注入し、レントゲン撮影する検査です。
子宮卵管造影(HSG)は、卵管因子不妊症の診断に第一選択の検査として用いられ、外来で受けることができるので卵管性の不妊の基礎検査として用いられています。
卵管閉塞や狭窄などの卵管通過性および卵管留水症、さらに卵管周囲癒着の情報だけでなく、子宮内腔癒着や中隔子宮などの子宮内腔の所見なども得ることができます。
使用する造影剤には油性と水溶性があり、油性造影剤は明瞭な描出像を得ることができますが、腹腔内拡散増の撮影が翌日となり診断に時間を要します。
水溶性造影剤は1日で検査が終了するのですが、描出像は油性造影剤よりやや落ちます。

子宮卵管造影(HSG)の検査の目的

子宮卵管造影検査では、子宮の形の異常(単角子宮・双角子宮など)や子宮内腔の異常(子宮内膜ポリープ・子宮粘膜下の筋腫・子宮内腔の癒着)、 卵管の通過性(閉塞や狭窄の有無、閉塞や狭窄の場所、卵管の走行の異常の有無)や卵管周囲の癒着などがこの検査でわかります。

子宮卵管造影(HSG)の検査方法

子宮卵管造影(HSG)の検査時期は、妊娠を除外した月経終了後から排卵までにおこなうことが望ましいとされます。また、子宮内操作を伴うため潜在したクラミジア感染の再燃も懸念されるので検査前より抗生物質を投与されます。
子宮卵管造影の検査方法は、まず、バルーンカテーテル留置し、骨盤のレントゲン写真を撮影後、X線透視化で造影剤を子宮内に留置したカテーテルで注入します。
子宮腔内が造影剤で充満した後、卵管より造影剤が腹腔内に流出した直後、そして拡散した時点でレントゲン写真を撮影します。また、必要に応じて側面像の撮影が行われます。
水溶性造影剤を使用した場合は、散像をみるために15分後にレントゲン写真の撮影を行い、油性造影剤を使用した場合は翌日にレントゲン写真を撮影し、卵管周囲の残存像や造影剤の広がりを撮影します。

造影剤の種類

子宮卵管造影(HSG)に用いられる造影剤には、水溶性造影剤と油性造影剤の2種類があります。
油性造影剤は吸収が遅く、卵管内に長期残留することにより不妊原因となったり、異物肉芽腫を起こすことがあるため注意が必要とされます。
水溶性造影剤は、油性造影剤に比べて吸収が早く多くの病院で採用さています。
水溶性造影剤は、体内での残留が少なく、血管内に入った場合の塞栓リスクがありません。
欠点としては、高浸透圧のため腹膜刺激症状が強くみられますが、油性造影剤との差はないとされています。
造影剤は、ヨード過敏症の既往のある方や重篤な甲状腺疾患がある場合は禁忌となります。

子宮卵管造影(HSG)を受けるときの注意点

月経が終了し性器出血がなく、妊娠が完全に否定される時期を選んで行われます。
排卵前、具体的には月経周期の7~9日目の頃です。
以下の方は子宮頚管造影検査を受けることができません。

  • 子宮や卵管、骨盤内臓器に急性の炎症がある場合。
  • クラミジア感染症や淋菌感染症にかかっている場合。
  • 不正出血が多量の場合。
  • 月経中および月経直前。
  • 排卵後および子宮内妊娠の可能性がある場合。
  • 妊娠中のとき。
  • 子宮や卵管の悪性腫瘍が疑われる場合。
  • アレルギー体質、特にヨード過敏症のある場合。
  • 体調不良、発熱がある場合。
  • 2ヶ月以内に胃/腸などのバリウム等の検査を受けた場合。
  • 他院で1年以内に卵管検査を行った場合。

子宮卵管造影(HSG)の治療効果

子宮卵管造影(HSG)を受けたあと数か月間は、妊娠率が上昇するといわれています。これは造影剤を注入することで卵管狭窄を解消するためです。

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