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シーハン症候群と不妊症

シーハン症候群とは、分娩時の大出血またはショック後に下垂体の梗塞・壊死を生じ、これにより下垂体前葉機能低下症を呈する病態をいいます。
シーハン症候群は、重篤な産科ショックの15%に発症するとされ、成人下垂体機能低下の64%を占めています。
分娩時管理の進歩により新たな発症例は減少していますが、現在でも全身倦怠感などの不定愁訴や貧血として長期間見逃されていることも少なくありません。
初発症状としては、産褥期の乳汁分泌不全が多く、その後、下垂体前葉ホルモン低下による様々の症状を呈し、軽症例では、分娩後の無月経が持続したり、希発月経などの月経異常を呈するだけのこともあります。

シーハン症候群の発生機序

妊娠中から産褥期には下垂体の容積は増加し、約2倍に増大しているため分娩時に大出血起こると下垂体への血流が一時的に途絶え、視床下部と下垂体をつないでいる下垂体門脈の梗塞によって、下垂体が壊死が起こった結果シーハン症候群が起こります。
また、妊娠中の凝固系は、分娩時の出血を抑えるために凝固系が亢進している状態にあります。分娩時に大出血が起こると、下垂体血管が攣縮して多数の血栓が形成され、虚血が起こり、その結果、下垂体前葉の壊死が生じます。

シーハン症候群の症状

シーハン症候群は、下垂体前葉機能低下症の一病態で、下垂体前葉機能障害の程度により症状は様々です。
障害が軽度の場合、乳汁分泌低下、腋毛・恥毛の脱落、第2度無月経にとどまりますが、重症例では、甲状腺・副腎機能の障害により無気力、易疲労感などがみられ、ホルモン補充療法を行わないと命にかかわる場合もあります。

シーハン症候群の検査と診断

シーハン症候群の診断は、下垂体ホルモンの測定を血液検査でおこないます。血中ACTH、GH、SH、LH、FSH、PRL およびコルチゾール、IGF-I、性ホルモンの測定が行われます。
さらに、下垂体前葉機能検査をおこない、下垂体ホルモン分泌予備能を評価します。
MRIないしCT 検査により、基礎疾患の有無を調べます。

シーハン症候群の治療

シーハン症候群では、LH・FSHの両方が低下しているので、ゴナドトロピン療法を行う場合は、FSH製剤ではなく、LH作用をもつhMG製剤が使用されます。
また、原因となる疾患があれば治療をおこない、欠乏するホルモンの種類や程度に応じたホルモン補充療法が行われます。

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