早発性卵巣不全と不妊症
早発卵巣不全(POF)とは、40歳未満の早い時期に月経が来なくなることをいい、早発閉経ともいいます。
平均閉経年齢は50歳ですが、40歳未満で卵巣性無月経になると早発卵巣不全(POF)と診断されます。
近年では病名として早発卵巣不全(POI)が正式とされています。日本産婦人科学会用語集では、早発閉経を40歳未満で卵胞が枯渇し、自然閉経を迎えた状態と定義しています。
早発性卵巣不全の原因
早発性卵巣不全の多くは原因不明です。
また、原因となる疾患の集合体であるため原因もさまざまといえます。染色体異常、自己免疫疾患(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、症筋無力症、アジソン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど)の合併率や自己抗体の検出率が高いことから免疫細胞が自己の卵巣を攻撃する機序も推定されます。
その他に、卵巣手術、放射線治療、化学療法、免疫抑制剤などの医原性があります。
早発性卵巣不全の頻度
早発性卵巣不全の頻度は、30歳歳未満で約0.1%、40歳未満で約1%といわれ、無月経患者のの5~10%を占めるといわれています。
早発性卵巣不全の症状
早発性卵巣不全の主な症状は、無月経や閉経と更年期障害の症状(ほてり、のぼせ、発汗、動悸などの血管運動神経系の障害、肩こり、腰痛などの運動器系の障害、頭痛、不眠、イライラ、不安感などの精神神経系の障害など。)、不妊などがあります。
早発性卵巣不全の診断
黄早発性卵巣不全の診断は無月経症例において7~10日間隔で測定した2回の採血でFSH値が2度とも40mIU/ml以上を示した場合に確定するとされています。
早発性卵巣不全の治療
早発性卵巣不全の治療は、妊娠を希望するかどうかで異なります。
妊娠を希望する場合
妊娠を希望する場合は主にホルモン療法を行います。
- エストロゲン療法:エストロゲン・プロゲステロンの周期的投与、エストロゲン+hMG-hCGなど。
- GnRHアゴニスト療法:GnRHアゴニスト、GnRHアゴニスト+hMG-hCGなど。
- 副腎皮質ステロイド療法:自己免疫疾患が関与している可能性がある場合は、副腎皮質ステロイドを投与しながら排卵誘発剤を併用。
- 卵子提供:ART療法(外国で)。
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