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黄体機能不全と不妊症

黄体機能不全とは、黄体の機能が低下し十分に黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されな、または、子宮内膜が黄体ホルモンに反応しない状態をいい、不妊症の約10%に認められるといわれています。

黄体機能不全の病態

  • ホルモンの作用不全:排卵、受精に異常はありませんが、黄体からのエストロゲンとプロゲステロン作用不足により黄体機能が正常に作用しない結果おこります。
  • 子宮内膜の発育不全:子宮内膜の発育が十分でなく、着床障害となり、不妊を来たします。
  • 黄体の早期退縮:着床したとしても、黄体は早期に退縮し、妊娠が維持できず、消退出血とともに妊娠が中断してしまいます。

黄体機能不全の原因

黄体機能不全の原因の詳細は不明ですが視床下部ー脳下垂体-卵巣系の内分泌異常に加え、子宮内膜の発育異常などの因子が絡みあって発生すると考えれています。

  • 視床下部の異常:下垂体の腫瘍や腫瘍による圧迫、出産で大量出血をした後におこるシーハン症候群など。
  • 脳下垂体の原因:シモンズ症候群・下垂体腺腫・末端肥大症・シーハン症候群など。
  • 卵巣の機能低下:早発閉経や多嚢胞性卵巣症候群(POCS)などのほか、感染症、手術、卵巣嚢腫や卵巣腫瘍など。
  • その他の原因:甲状腺機能低下症や甲状腺機能低下、糖尿病などの内分泌疾患やその他のなんらかの病気、薬の服用など。

黄体機能不全の診断

黄体機能不全の検査方法として、基礎体温、ホルモン値の測定、超音波検査などがあります。

  • 基礎体温:基礎体温表のパターンは、高温相が短く9日以内、高温相と低温相の温度差が0.3度以内、高温相の温度が凸凹しているなどの場合。
  • ホルモンの測定:高温相の中間期(高温になって7日目位)に採血をしてプロゲステロンの濃度を測定します。値が10ng/ml未満の場合。
  • 超音波検査:子宮内膜が8㎜以下となった場合。
  • その他:プロラクチン、男性ホルモン、甲状腺ホルモンなどのホルモン検査など。

黄体機能不全の治療

黄体機能不全で不妊を訴えている場合は、以下のような治療が一般的です。

排卵誘発法

  1. クロミッド療法:卵胞期に排卵誘発剤のクロミッドを服用。
  2. ゴナドトロピン療法:黄体期に黄体ホルモンのhCGを投与。

黄体補充療法

  1. 黄体賦活療法:黄体期にhCGを投与し、黄体に刺激を与える治療法。
  2. 黄体ホルモン:黄体ホルモン自体を投与する治療法。

ドパミン作動薬療法

高プロラクチン血症がある場合にドパミン作動薬の投与が有効とされます。

原因疾患の治療

黄体の機能不全を招いている原因疾患がある場合は、その原因となっている疾患に対しての治療が行われます。
甲状腺機能亢進症の場合は、甲状腺ホルモンの分泌が増加を抑制する薬剤メチマゾールやカルビマゾールが投与されます。
甲状腺機能低下症の場合は、甲状腺ホルモンの分泌が減少していますので甲状腺ホルモン製剤である、チラーヂンSが投与されます。
血中のプロラクチン値を下げる薬剤が投与されます。一般的にパーロデル、テルロ、カバサールなどの内服薬で治療をおこない経過を観察します。
高アンドロゲン血症の場合は、副腎から分泌される男性ホルモンを抑制するため、デカドロンやプレドニンなどの薬を使った投薬治療をおこない経過を観察します。

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