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多嚢胞性卵巣症候群と不妊症

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)とは、臨床症状(月経異常・不妊・多毛・肥満など)、内分泌異常、多嚢胞性卵巣などを主徴とする症候群です。
卵子は卵胞という袋のようなものに包まれて卵巣の中にたくさん存在し、通常1月に1個の卵胞が20㎜程度に大きくなると卵胞から卵子が飛び出し排卵がおこります。
多嚢胞性卵巣症候群の場合、卵巣の中に卵胞が多発し、その卵胞はが成熟不全となることが多いため排卵障害が起こります。
生殖年齢の女性の5~8%と高率に存在するといわれ、月経異常や不妊を訴える女性が受診し発見され、排卵障害患者の多数を占めています。

多嚢胞性卵巣症候群の症状と所見

月経異常

月経異常は多嚢胞性卵巣症候群の92%にみられ最も一般的な特徴です。
その内訳は第1度無月経が43%と最も多く、続いて希発月経が35%、無排卵周期症が20%となっています。

不妊症

不妊症は多嚢胞性卵巣症候群の98%にみられ、黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)のバランスの乱れ、卵巣表皮が肥厚により排卵障害が起こり不妊となります。

肥満

多嚢胞性卵巣症候群はインスリンと関連している考えられており、インスリンの分泌過剰やインスリンの機能不全により肥満となります。多嚢胞性卵巣症候群の20%に肥満がみられる。

男性化徴候

男性ホルモン(アンドロゲン)の増加により多毛、にきび、声の低音化、陰核肥大などの男性化徴候が見られます。男性化徴候の割合は、欧米21%、日本2%です。

内分泌検査所見

  • 黄体形成ホルモン(LH)上昇
  • 黄体形成ホルモン(LH)≧卵胞刺激ホルモン(FSH)
  • エストロン(E1)上昇
  • エストロン(E1)/エストラジオール(E2)比上昇
  • テストステロン上昇
  • アンドロステンジョン上昇

超音波検査所見

  • 多嚢胞卵巣:多数の嚢胞に加えて白膜の肥大が確認できます(ネックレスサイン)。
  • 卵巣腫大:多数の嚢胞によって卵巣が腫大します。

多嚢胞性卵巣症候群の原因

多嚢胞性卵巣症候群の原因はっきりとは解明はされていません。複数の病因が影響していると考えれており、黄体ホルモン過剰によるテストステロン過剰、糖代謝異常、遺伝要因などが考えられています。

多嚢胞性卵巣症候群の検査

多嚢胞性卵巣症候群の診断のための必須の検査には、超音波検査、血液中のホルモン検査として、男性ホルモン、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)が行われます。
その他の内分泌検査として、エストラジオール(E2)、エストロン(E1)、プロラクチン(PRL)、GnRh試験(LHRH試験)などが行われます。

治療方針のための検査

治療方針を決定するための検査として、BMI、インスリン抵抗性検査、ゲスターゲン試験などがおこなわれます。

多嚢胞性卵巣症候群の治療

肥満の改善

BMIが25以上の人の場合、まず減量をおこないます。減量により症状の改善、排卵率の改善がえられます。

排卵誘発剤

排卵誘発剤を用いた治療が第一選択肢で、クロミフェンが最もよく使用されます。クロミフェンは脳の視床下部に働きかけて卵胞刺激ホルモン(エストロゲン)の分泌を促す働きがあります。
POCSで排卵できない人は、アンドロゲンやLHが高い数値を示すことがあり、エストロゲンが増えることで数値が正常に近くなって排卵が起こります。
排卵が起こった場合には、タイミング法にての妊娠を試みます。

hMG-hCG療法(ゴナトロピン療法)

クロミフェンによる排卵が望めない場合は、hMG-hCG療法(ゴナトロピン療法)が選択されます。hMG-HCG療法とは、卵胞期にhMG注射をおこない卵胞の成熟を促し、卵胞が成熟するとhCG注射使用し卵を排卵させる治療法です。
hMG-hCG療法(ゴナトロピン療法)にて排卵が起これば、タイミング法にての妊娠を試みます。

外科的療法

hMG-hCG療法(ゴナトロピン療法)にて排卵が起こらなければ、腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)、体外受精(IVF)など外科的療法が選択されます。

顕微授精

腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD)や体外受精(IVF)など外科的療法で妊娠が望めない場合には顕微授精が選択されます。

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