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卵管采の癒着と不妊症

卵管采部は、卵管の先端の漏斗部でラッパのように開いた口で、花弁のようにひらひらになっていて卵子が排出されるときには卵巣を覆い、卵子を卵管の中に吸い込み、絨毛運動と卵管の蠕動運動によって卵子や受精卵を子宮へ送る役割を担っています。
卵管采癒着とは、卵管采周囲と腹膜、他臓器との癒着が生じ、開口部が閉塞したり、卵管采の動きが障害されるものをいい、卵子の捕捉ができないため不妊となります。

卵管采癒着の原因

卵管采癒着の原因としては、子宮内膜症、腹膜炎、クラミジア感染症、子宮筋腫、過去の開腹手術などが考えられます。

卵管采癒着の経過

卵管采癒着は、卵管采周囲のフィルム状の癒着から始まり、癒着の進行に伴い、最終的には卵管采が完全に閉塞してしまいます。
卵管采は、卵子のピックアップにおいて最も重要な部分であり、卵管采癒着は妊娠に大きな影響を与えます。

卵管采癒着の検査

卵管采癒着を診断するための検査としては、子宮卵管造影(HSG)、腹腔鏡検査などがおこなわれます。

子宮卵管造影検査(HSG)

子宮卵管造影検査(HSG)とは、子宮口から油性または水性造影剤を子宮腔に注入し、レントゲン撮影する検査です。
子宮腔と卵管の形態を把握でき、外来で受けることができるので、卵管性の不妊の基礎検査として用いられています。
子宮卵管造影は、月経終了から排卵までの卵胞期に行われます。これは排卵後は子宮内膜の増殖によって診断がむずかしくなるということからです。
子宮卵管造影を受けたあと数か月間は、妊娠率が上昇するといわれています。これは、造影剤を注入することで卵管狭窄を解消するためです。

腹腔鏡検査

腹腔鏡検査は、内視鏡を腹腔に入れて、子宮や卵巣周囲の様子を観察する検査です。
全身麻酔をかけて、へその辺りに5㎜程度の小さな穴をあけて、小さな内視鏡(腹腔鏡)を腹腔内に挿入し、子宮や卵巣などを直接観察する検査で炭酸ガスを入れて膨らませる「気腹法」とワイヤーでおなかの皮膚をテントのようにつり上げる「つり上げ法」の2種類があります。
子宮卵管造影で異常が認められた場合や子宮筋腫、子宮内膜症が疑われる場合、原因不明で治療しても妊娠しない場合などが適応となります。
この際、異常が認められ腹腔鏡下に処置ができる場合には、腹腔鏡下手術(癒着剥離術、子宮内膜症病変焼灼術など)に移行します。

卵管采癒着の治療

卵管采癒着の治療としては、腹腔鏡下卵管采形成術や卵管鏡下卵管形成術などがおこなわれます。
腹腔鏡下卵管采形成術とは、全身麻酔下で小さな穴をお腹に数箇所あけて、腹腔鏡を入れ、炭酸ガスを腹腔内に充満させ、モニターに映し出された画像を観察しながら癒着を剥離する治療法です。
卵管鏡下卵管形成術とは、内視鏡が内蔵されたFTカテーテルを膣から子宮内に挿入し、内視鏡で卵管内の状態を確認し、癒着を引きはがして通過性を回復させる治療法です。
癒着の程度が軽度であれば、妊娠はある程度期待できますが、炎症の波及により卵管采の壁が消失している場合は、形成術を行っても妊娠の可能性は低く、体外受精などの生殖補助医療(ART)に頼らざるを得ません。

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